■被告人両名の注意義務違反について
〇道路運送法等の関係法令は、事業者に対し、輸送の安全確保のため、運転者の運転技量等を把握し、乗務する運行経路を安全に運転するために必要な運転技量を習得させ、これが十分に備わっていることを確認してから当該乗務に従事させなければならない義務を負わせ、運行管理者と一体となって運行管理業務を遂行させる義務を負わせたものと解される。イーエスピーでは、事業者である高橋被告が荒井被告を運行管理者に選任し運行管理業務を一手に委ねる一方、荒井被告を指導監督する唯一の責任者として、両名が一体となって輸送の安全を確保する義務を負っていた。
〇イーエスピーでは、運転者の運転技量の把握等輸送の安全確保のための運行管理業務は殆ど行われず、平成27年2月監督官庁から監査で法令違反を指摘されたが、状況を改めたとの内容虚偽の弁明書を提出した。
〇荒井被告は、採用面接の際、運転手が直近の勤務先で約5年間大型バスの運転をしておらず慣れていないと認識した。荒井被告から報告を受けた高橋被告は、運転手の大型バスの運転経験が少ないと認識したにもかかわらず、両被告は、運転手の大型バスの運転技量等を把握せず、ベテラン運転者らと同乗した際の具体的な運転状況等について報告を受けずスキーツアーの運行に従事させた。
〇本件では、監督過失が問題となるが、荒井被告と高橋被告が、法令上義務付けられた運行管理業務等について、自社の不備を認識し、監督官庁からも不備の改善を指摘されながら虚偽の弁明書を提出するなどして対策を怠っていたという事情に鑑みると、直接行為者である運転手の技量を信頼することができず、技量不足に基づく過失行為により死傷事故を発生させる危険のある状況を認識しており、当然これを予防するための措置をとることができるのであるから、予見可能性があったと評価できる。
〇両被告は運転手が必要な運転技量を備えていることを確認してから同運行に従事させるべき刑法上の注意義務を負っていた。にもかかわらず、運転技量を確認しないまま本件スキーツアーに運転手を従事させたのであり、刑法上の注意義務を怠っていたことは明らかである。
〇そして、両被告が道路運送法等の関係法令で定められた義務を尽くし、運転手の大型バスの運転技量等について把握していれば、必要な技量を有していたとは確認できず、本件スキーツアーに乗務させなかったと認められ、本件事故は起きなかった。同業他社や荒井被告が以前経営していた会社の実情をみると、いずれも運転者について、客を乗せた運行に従事させる前にその技量の把握、確認を十分に行っていたのであり、運転技量等を把握することが困難であった事情も特段見当たらない。したがって、被告人両名には、刑法上の注意義務違反があったと認められる。
〇両被告は、刑法上の注意義務を果たさず、運転手の運転技量不足によって本件事故が生じたのであるから、まさに両被告の注意義務違反による過失が重複し、その危険性が本件事故の発生に結び付いたと評価でき、本件では因果関係が明らかに認められる。
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