長野県軽井沢町で2016年に大学生など15人が死亡したスキーツアーのバス事故の裁判で、バスの運行会社側の社長らに実刑判決が言い渡されました。
きょうの判決の内容です。
≪主文≫
高橋美作被告を禁鋼3年、荒井強被告を禁鍋4年に処する。
≪理由≫
【罪となる事実】
高橋被告は、株式会社イーエスピーの代表取締役として、運行管理者に対する適切な指導監督を行い、安全を確保する業務に従事していた。荒井被告は運行管理者として運行の安全確保業務に従事していた。
○荒井被告は、新たに雇用した運転手について、大型バスの運転技量が不十分なまま、夜行日帰りのスキーツアーの運転をすれば事故を起こす可能性があると予見でき、技量が十分に備わっていることを確認してからスキーツアーの運行に従事させて、事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるのにこれを怠った。
○高橋被告は、運転手について、運転技量が不十分なまま運転をすれば、事故を起こす可能性があると予見でき、荒井被告が運行管理者としての業務を果たしていないと認識していたのだから、必要な技量が十分に備わっていることを確認してから運行に従事させ、事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるのにこれを怠った。
それぞれの過失により、運転手が、2016年1月15日深夜、国道18号碓氷バイパスで、バスを崖下に転落させて乗客等14名を死亡させ、乗客26名に傷害を負わせた。
【事実認定の補足】
■争点
被告人両名が、運転手に大型バスの運転に必要な技量が十分にあることを確認してから、スキーツアーの運行に従事させる義務があったのに、これに違反したかどうかと、注意義務違反があった場合に、事故と因果関係が認められるかどうかである。
■事故が起きた要因
運転手が、急な下り幻配でカーブが連続する区間においてギアチェンジに失敗し、ニュートラルになって補助ブレーキが効かなくなり、対向車線にはみ出し、車体を大きく傾かせて走行し、道路左側のガードレールに車体を接触させ、崖下に転落した。
■事故が起きたバスの運転手の運転技量などについて
運転手は入社する前の約5年間、大型バスの運転に従事しておらず、フィンガーコントロールトランスミッションの大型バスの運行に従事した経験は殆どなく、入社後ベテラン運転者に操作に慣れていないと評価されたほか、事故の約1週間前には、複数の運転ミスをしたため交替させられたことがあった。同乗したベテラン運転者は、運転させるのは疑問だと同僚に伝え、適性診断では注意すべき特性があるとされていた。運転手は、大型バスによる夜行日帰りスキーツアーの運行に必要な運転技量を十分に備えていたとはいえず、技量の不十分さが事故の原因と直結したといえる。














