シャングリラ会合の2本柱
1本目の柱は「日米同盟を基軸に“3か国”間や“多国”間といった同志国の関係性を増やしていくこと」。そしてもう1本の柱は、「中国と意思疎通をはかり信頼を醸成していくこと」だという。
実際、今年は日米韓防衛大臣会談も予定されている。幹部は「韓国は政権交代により、安全保障環境の見方が、朝鮮半島中心からグローバルな方向へと変わってきている」と日韓関係の改善を踏まえた3か国の関係強化に期待をにじませる。
また防衛省関係者によると、日米豪比防衛大臣会談も開催予定だ。中国が南シナ海への海洋進出を強める中、オーストラリアとフィリピンとの連携は欠かすことが出来ない。両国は今年度で42回目となる陸上自衛隊の日米共同指揮所演習「ヤマサクラ」に初めて参加する予定など、この4か国は防衛協力を顕著に深化させている。
特にフィリピンは、これまで中国との経済的な結びつきが強かったが、近年は中国を安全保障上の懸念と捉えアメリカとの協力関係の構築を進めるなど、その動向に注目が集まっている。
オースティン国防長官も1日の日米防衛大臣会談で「日米同盟の近代化・抑止力の強化に向け、重要なステップをとっている。それは多国間協力に関する革新的なアプローチだ。シャングリラ会合で米日韓・米日豪の3か国会議も大変楽しみにしている」と述べている。

シャングリラ会合前日の日米の会談は、現地での“3か国”“多国”間協議に向け、日米で課題や論点を確認し意思疎通を図る目的があったのだ。
予断許さぬ「中国との意思疎通」
一方、日本が「2本目の柱」と位置付ける「中国との意思疎通」についてはどんな成果が得られるのか予断を許さない。
2023年のシャングリラ会合は、日中防衛大臣会談が予定されている一方、アメリカ国防総省によると、中国側がアメリカとの会談の打診には応じない意向を伝えているという。
こうした中、日米同盟をベースに、日本がどのような役割を国際社会で果たせるかが注目される。
TBSテレビ政治部
防衛省担当 岩本瑞貴