ころんとした姿で、星条旗と日の丸を表現した2つの饅頭。6月1日東京で開かれた日米防衛大臣会談で、米オースティン国防長官ら参加者にふるまわれたものだ。
防衛省幹部によると、兵庫県神戸市にある創作和菓子の店からわざわざ取り寄せたという。「去年9月に浜田防衛大臣が訪米した際、オースティン長官に温かく“おもてなし”いただいたので、今回はこちらも心のこもった“おもてなし”をということになった」それが、この和菓子を選んだ理由だと幹部は解説する。

会談では、北朝鮮が5月31日「軍事偵察衛星」と称して弾道ミサイルの可能性があるものを発射したことや、中国による東シナ海・南シナ海での一方的な現状変更の試み、ロシアによるウクライナ侵攻などについて言及したうえで、日米の協力関係の重要性が確認された。
また日本が2022年末、相手のミサイル発射拠点などを叩く「反撃能力」の保有を決定したことを踏まえ、日米同盟の役割分担についても議論されたほか、日本に対する核を含めたアメリカの拡大抑止が揺るぎないものであることも確認された。
わざわざ日本で会談した理由とは
実は浜田大臣とオースティン長官は共に、6月2日から4日にかけてシンガポールで開催される「アジア安全保障会議」、通称「シャングリラ会合」にも参加する予定だ。
シンガポールで会談することも可能だったはずだが、わざわざ会合前日に日本で“おもてなし”をし日米関係を確認した背景には、シャングリラ会合に備える目的があった。ある防衛省幹部は今回のシャングリラ会合の狙いについて「2本の柱」があると解説する。