#就活セクシズムをやめてください

水野さんは同じ悩みを持つ人たちとともに、「就活セクシズム」をめぐる現状を変えたいと、2020年11月、「#就活セクシズムをやめて」をスローガンに掲げ、署名活動を始めました。さらに大手スーツ販売店などに、男女のあり方を明確に分けて記載しているパンフレットの中身を改善することなどを求めています。

水野さん
「就活生は”選ばれる”という弱い立場になってしまっている。採用側は『自分のジェンダーアイデンティティの表現に合わせたビジネスファッションで大丈夫ですよ』って言ってあげて欲しいです。女性はこう、男性はこうという型にはまらなくても『それを理由に落とすことはないですよ』っていう一言がないと、就活生は守りに入るしかないんですよね」

足を踏まれても我慢するべき?就活生は我慢の連続

文科省への署名提出後の会見

2023年5月時点で集まった署名の数は3万3000人を超えました。水野さんの元には署名とともに様々な体験談も集まりました。

「大学のマナー講座で、『パンプス着用は女性らしい足さばきのために我慢するように』と言われた」

「リクルートスーツ購入の際、『女性は絶対にスカートの方がいい』と言われた」
「『男なんだからもっと髪を短くしろ』と言われた」

「パンツスーツ+ローファーを着用していたら、『女のくせに男みたいな格好をするな』と言われた」

「『女性はパンプスを履け』と言われ履いていたが移動中に足を踏まれ、『そんな靴を履いているから悪い、我慢しろ』と言われた。そのことを学校でマナー講師に話すと、『女性だからしょうがないことだ』と言われた」

「らしさ」を求められた人からの体験談を見て、水野さんは自らが就活生だった10年前と比べて、「状況は何も変わっていない」と話します。

水野さん
「自分が就活をしようとして挫折した時から何も変わってないんだなと思ってすごくびっくりして。ちょっとでも良くなってるって思ってたんですよ。でも全然変わってなくて未だにこれか、と」
「学校の制服とかランドセルの色の男女二元論の考え方がちょっとずつ緩和されているのに、なぜか就活の場だけは全然変わってなくて呆れるというか」

水野さんらは集まった署名を4月25日、文部科学省に提出。文科省は学生の就職活動のあり方について検討・協議をしている就職問題懇談会へ意見を伝えました。

これを受け懇談会は企業や学校に対する申し合わせ文書に記された「就職活動での多様性のあり方」について、引き続き検討をしていくとしています。水野さんは、「誰もが自分らしく就職活動を行い、それが受け入れられる社会になってほしい」と話しています。

就職活動は今後の人生と向き合うタイミング。
男女でくくられた“らしさ”ではなく、個性豊かな「自分」らしさを見てもらえる社会に向け、模索は続きます。

(TBSテレビ社会部 山田優奈)