更に、プーチン氏がマリウポリを訪問した際に公開された映像はもっと怪しかったとジルノフ氏は言う。映像ではプーチン氏自らがステアリングを握り、窓の外には一般車両が通行している。

元KGB職員 セルゲイ・ジルノフ氏
「通常は交通事故を防ぐためにプーチンが移動する際は、車列が通る予定のすべての道路は通過1時間前から通過1時間後まで通行止めになる。しかし、マリウポリでは通行止めがなかった。自分で運転している上に警護もない。しかも戦場から100~120キロしか離れていない。

ウクライナのミサイルが着弾するかもしれない場所にプーチン氏が行くとは到底考えられない。マリウポリ訪問は影武者だと確信している。プーチン氏は非常に閉鎖的な人間。KGB出身でもあり自分の安全に極端に気を使っている。要人と対面する時は絶対に本物のプーチン氏だ。習近平と会った時もエルドアンと会った時も…。

しかし、ロシア各地に行って演説はしないで握手だけの形式的な任務には影武者を使っていると思う。ピストルで撃つかもしれない人や、腐った卵を投げるかもしれない人と会うのは嫌なんだよ」

ジルノフ氏の指摘をどう思うか朝日新聞の駒木氏に聞くと、他の判断は難しいがマリウポリで車を運転するプーチン氏はあり得ないという。

モスクワでもプーチン氏を乗せた車両が通る時は上下線とも通行止めにして、前後に警護車両が付き、狙撃されないよう猛スピードで走り抜けるという。さらに近くでプーチン氏を見たことがある駒木氏は別の視点からも疑念を抱く。

朝日新聞社 駒木明義 論説委員
「彼は運転が好きだから自分で運転することはあるだろうけど、マリウポリのようにどこにウクライナのシンパが隠れているかわからない場所では考えられない。それとこの映像の、彼の後頭部です。

僕、ソチ五輪の時に至近距離でプーチンの後頭部を見たんですが、映像のプーチンは明らかに毛が濃い。プーチンの後頭部には大きな毛がない部分があったはず。もちろん植毛とか、整形とかあるんでそれだけではわからないですが…。」

防衛研究所の兵頭慎治氏も、プーチン氏の影武者は以前から複数いたと言われてきたという。しかし、戦争になってより出動回数が増えているのだろうという。戦地に赴き士気を上げることも必要だろうが、危ないところには行きたくない。じゃぁ、ここは影武者で…。独裁者の常套手段だという。