中国との関係は「デカップリング(=分断)」から「デリスキング(=リスクの軽減)」へ

ーー問題なのはこれからの世界情勢がどうなるかという話。米中関係が何といっても中心になると思いますけれども、アメリカも大変ですよね、バイデン大統領がすぐとんぼ返りをして・・・

阿達雅志 参議院外交防衛委員長:
バイデン大統領はこのG7の最中にいくつかのセッションを途中退席して、国内の債務上限問題の対応をやったりしたと。そういう意味では本当にそれぞれの国の状況が厳しい中でG7が集まって団結を示したという会を、何とか岸田総理が議長として差配できたっていうのは、これはこれで非常に大きいんだと思うんですね。

ただ裏側を見ると「G7自体がもう若干バラバラになってきてた」。これ実は米中問題も関係していて、中国とどういう形で対峙していくのか、どうしても今表面的に出てきてる話というのは中国の問題。(中国が)一方的な力による現状変更をやろうとする東シナ海、南シナ海の問題、経済的にもいろんな形で威圧してくる、それから本来の市場経済と合わないような行動を非常にとってるとかですね。いろんな問題を抱えている。

ーー安全保障、核の問題もありますね

阿達雅志 参議院外交防衛委員長:
そういう中で、今まではどちらかというと「デカップリング(=分断)」という言い方、これがいろんな分野で進んでいくというふうに言われてたわけですが、ここへ来て若干微妙に空気が変わりつつある。これは今回のG7ではっきりしたんですけども、2022年の12月にイギリスが「統制要項」という国としての安保についての見方の中で、中国との関係は「デカップリングじゃなくてデリスキリング(=リスクの軽減)」だっていう言い方をしている。

ーーデリスキングとは、中身はどういうものですか?

阿達雅志 参議院外交防衛委員長:
リスクの中身は何かというと、中国に過度に経済的に依存をする、あるいはサプライチェーンで中国に頼り切るとかですね。例えばマスクとかを全部中国から持ってきた、そしたらいざというときには大変だったじゃないかと。

だからそれぞれの国がそういうのをちゃんと持つのが大事なんだ、それを特に「ある程度コミュニケーションが取りやすい国の間でやろう」という言い方に変わったわけですね。アメリカはどうするかなと思って見てたら、一方においては半導体について非常に中国に対して厳しいことをやる。

ところが4月の終わりにこのサミットを視野に入れる形でイエレン財務長官、そしてサリバン安全保障担当の大統領補佐官の2人がスピーチの中で「中国との関係はデカップリングじゃなくデリスキリングなんだ」と。だから彼らを排除しようとしてるんじゃないんだと。自分たちはむしろ自分たちの国のいろんな安全強靭化を図るためにやってるだけなんだと、こういうふうにちょっと言い方変えてきているんですね。

それで今回、アメリカのG7についての成果の発表なんかを見てても、中国との関係について「USチャイナTHAW(=雪解け)」という、これを目指していくんだと。対話を始めるのも近いよというニュアンスを出して、今まではむしろ完全分断してもう対話するネタもないみたいなことを言ってたのが、対話に向かってちょっと変わってきてるんですね。

ーー特にヨーロッパなんてそうですし、オーストラリアも変わりましたもんね

阿達雅志 参議院外交防衛委員長:
やはり世界への影響という面でいっても、そこ(中国との関係)を完全に切ることは無理なんだという、これがもう一つの全体としての認識になったと。それが今回のG7の文言の中にも微妙に入ってきてるんです。