日本が議長国をつとめ被爆地広島で行なわれたG7サミットが21日、閉幕した。ゼレンスキー大統領が急遽来日し対面での討議に参加。また会議に先立ちG7首脳や拡大会合出席の招待8か国の首脳たちが平和記念資料館を見学し被爆の惨状に触れるなど世界的に注目が集まり、「G7広島サミット」はインパクトのあるものとなった。討議は9つのセッションで行なわれ、「大成功」という評価を得た岸田外交が国際社会情勢の変化に今後どう対応していくべきか、このサミットから見えてきたものについて、参議院の外交防衛委員長を務める自民党の阿達雅志参院議員に聞いた。(聞き手:川戸恵子、5月23日収録)

"大成功のサミット”に垣間見えた「G7の限界」

ーー今回広島で各国首脳らは平和記念資料館に行き、原爆死没者の慰霊碑に花を手向けました。こういうことをやったので核廃絶を希望していた人たちはすごく期待があったのですが、「核軍縮に関する広島ビジョン」に対しては「えっ違うんじゃないの?」という反応がありましたが?

阿達雅志 参議院外交防衛委員長:
これはG7全体の評価とも言えるんですけど、「今回のG7は大成功だった」「非常にG7としての強いメッセージを出して、それは世界に対しても大きなインパクトを与えた」と。こういう部分はあるんですが、一方においてやはり「G7としての限界も垣間見えてしまった」部分があると思うんです。

それは核の問題にしても、「核軍縮という理想をしっかり目指していくんだ」「これに対してコミットメントをするんだ」という、これは非常にプラスの面なんですけども、一方において、今、核抑止力というものに頼ってる部分がある。

ーーそうですね。ウクライナでロシアはいつ使う核を使うかわからないですし、対抗して他の国は「自分の国はやっぱりこれ(核兵器)を絶対捨てられない」といっていますね。

阿達雅志 参議院外交防衛委員長:
ですから、今回のコミュニケの文章ってのも微妙な部分があって。大きなところでは核軍縮ということを言って、それを目指していくんだということは言ってるんですが、一方においては『全ての者にとっての安全が損なわれない形』という文言、具体的には『我々の安全保障戦略は核兵器はそれが存在する限りにおいて防衛目的のために役割を果たし、侵略を阻止し、並びに戦争および威圧を防止すべきもの』なんだと。

つまり世界に核が存在している限りにおいては「防衛、抑止のために持っていてもいいんだ」と。だから「理想の部分」と「現実の部分」を並べてるっていう意味では、G7の中でイギリス、フランス、アメリカが核保有国であるという現実があって、しかもこの「核の傘」の抑止力でG7はカバーされている、NATOという形でカバーされてますから、だからその現実は否定はできないということだと思うんです。これが現実の部分。

一方で強いインパクトを与えたのは、(各国首脳が平和記念資料館で)具体的にどういう展示を見て、どうだったかというのは公表はしてませんが、最後の芳名帳記帳で感想を書かれてるということ。核の悲惨さというものを、直接G7のトップリーダーが集まった場所で見たであろうということは非常に大きな出来事ですし、メッセージとしてはあるんだと思うんです。