この5月の東京は、25℃を超える夏日の翌日に最低気温13℃に下がるなど、寒暖差の激しい気候になっています。体調を崩さないように注意が必要ですが、世界遺産の撮影も極端に寒いところと暑いところがあり、なかなか大変です。
(執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太)

巨大クレーター
巨大クレーター

これまで撮影に行った世界遺産の中で、一番暑いところはメキシコの自然遺産「ピナカテ火山とアルタル大砂漠」。これは80.8℃という世界最高気温を記録したソノラ砂漠の中にある自然保護区です。不思議な星形の大砂丘や火山が生んだ巨大なクレーターがいくつもあり、まるで異星のような景観を見ることが出来ます。

一番寒かったのは、ロシアの「レナ川の石柱自然公園」。シベリアを流れるレナ川沿いに、高さ200メートルにもなる巨石の柱が林立する自然遺産です。冬はマイナス60℃になって、川は全面結氷。地元の人は氷に穴を開けて魚を釣るのですが、釣り上げた途端に凍り付いてしまい、文字通り瞬間冷凍状態になります。巨大な石柱がたくさん出来たのも、岩盤内部の水分が冬に凍って膨張し、岩に亀裂が生じたことがきっかけになっています。

また、ひとつの世界遺産の中で撮影場所を変えると急激な寒暖差が生じるのが、冬のグランドキャニオンです。