■バイデン大統領来日で「“関係性”の構築を」

そんなバイデン大統領、いよいよ5月22日に大統領として初めて来日します。
アメリカ大統領の来日と言えば2014年、“すし好き”でも知られるオバマ氏を、東京・銀座の高級寿司店に招き夕食会。
2019年に来日したトランプ氏は、晴れ渡った空の下ゴルフを楽しみ、さらに夜には、都内の炉端焼き店で名物の「じゃがバター」を楽しむなど、日本側の「おもてなし」が注目されます。

ホランキャスター:
バイデン大統領が来日し、岸田総理との会談が開かれます。2人にとって最も重要になるものはなんでしょうか。
エマニュエル駐日大使:
関係性ですね。2人には個人的な信頼関係と対話が必要です。特別な問題の相談をする時には、そういう2人の関係性が大事なんです。同盟国や友好国ということだけではできません。
2022年の初めに行った日米首脳によるオンライン会議の終わりに、岸田総理は新しい資本主義についての考え方にも触れていたので、強い土台もできています。その背後の哲学などにも触れられましたが、バイデン大統領もインフラなどを含むビルド・バック・ベター(よりよく米国を再建する)計画や、2人の考え方の類似性などについて話しました。
だから、インド太平洋での問題では一致できる点が多くあります。より包括的な経済成長に向けて経済を近代化するという点でも一致点が沢山ある。その上、2人には関係性があります。だから、何が期待できるかと問われれば、共通の課題に挑むに当たり、試練に耐えられる友好関係の構築ということでしょうね。
■「IPEF」から見えた中国への対抗意識
今回、注目されているのは、バイデン氏が来日中に設立を表明し、日本も参加する見通しの新しい経済圏構想「IPEF(アイペフ)」です。
ホランキャスター:
首脳会談での主要議題の1つは「インド太平洋経済枠組み=IPEF」になります。この新たな枠組みについて、教えていただけますか。
エマニュエル駐日大使:
IPEFは大統領の担当です。その背景について説明させてください。
アメリカは、日本などと同様、太平洋地域で永続する勢力です。中国は、アメリカがここから除外され、これからもずっと存在し続けることはなくなると主張したがっています。これが大きな構図です。
自由で開かれたインド太平洋を掲げる場合、問題解決や価値観は軍事的な問題に限定されるものではありません。IPEFは、インド太平洋地域におけるアメリカのパワーのみならず、プレゼンスの再強化です。長期的な視野を伴うものです 。
新型コロナとロシアによるウクライナ侵攻という2つの問題は、国際経済を根本的に変えました。かつては費用対効果が重要でしたが、今日の世界で重要となっているのは安定性と持続可能性です。日本のあらゆる企業が、自らのサプライチェーンに目をやり、どの点が脆弱か、将来的にどこが信頼できる同盟国で、どこから資源を得るのか探っています。つまり、費用対効果ではなく、安定性と持続性が企業が何かを判断する際の共通の価値観となっているのです。
それは国についても同様です。日米にとっては、レアメタルと鉱物がそうですね。中国にどれだけ頼ってきましたか。この先も頼り続けられますか。答えはノーです。情報システムの分野でもサプライチェーンは、知識や価値観を共有せず、信頼できない国のシステムにどれほど頼ってきたことでしょうか。新しい時代に必要なのは、友好国、同盟同士で確実性を作り出すことです。それが、IPEFなんです。情報システム、サプライチェーン、貿易、テクノロジーが大きな柱です。