「一度見てもらえれば…」

ゴールやスタジアムの広告看板などの設置もクラブスタッフの手で行われる

JR藤枝駅から北へ約5キロに場所に位置する藤枝総合運動公園サッカー場。2002年のサッカーW杯でセネガル代表がキャンプを張ったことでも知られるスタジアムは、いまや『蹴球都市・藤枝』のシンボルだ。藤枝もJFL昇格後からここをホームとしてきた。

しかし、自慢のスタジアムにも課題はある。それが大勢の観客を一度に招き入れるためのハード面。公園内には、駐車場こそあるものの、一度に6,000人もの観客を迎え、無事に帰ってもらえるのか。「(スタジアムへの)移動手段がまだ足りていない部分がある」(徳田社長)。J2昇格で観客が増えることを想定し、昨シーズンまで無料だった駐車場を有料化、予約制にすることを決断。

さらに、バス会社に協力を仰ぎ、駅とスタジアムの間を走るシャトルバスの充実を図った。すべては多くのサポーターにスタジアムに来てもらいたい。「一度、見てもらえれば『藤枝のサッカーっておもしろい』と感じてもらえるはず」(伊藤さん)。その一念だ。

「小さなクラブだからこそ応援したくなる」

MYFCのサッカーに魅了されたという増田さん(写真右)と妻の佐苗さん(同左)

「チケットが完売するなんて、僕らも感無量ですよ」。
そう言って目を細めたのは、スタジアムそばの木陰で休憩していた増田正明さん(70)と佐苗さん夫妻=静岡県焼津市=。サポーター歴は8年ほど、藤枝のサッカーに魅了された人たちだ。

きっかけは、もらった招待券。「たかが、J3だと思ってきたら、けっこうやるじゃん」。気がつけば、シーズンチケットを購入、藤色のユニフォームを身にまとい、ホームはすべての試合、昨シーズンはJ2昇格を決めた最終戦・長野にも足を運んだという。「地元にプロのサッカークラブがある。小さなクラブだからこそ、応援したくなる」。きょうもゴール裏で、大漁旗を打ち振り、“わたしのフットボールクラブ”を後押しする。