タンブルウィードTCでのトレーニング内容は?
橋岡が説明した今の助走は、「短距離的な走り方」と言い換えることもできる。橋岡が昨年の11月からトレーニングを行ってきたのは、フロリダ州を拠点とするタンブルウィードTC。昨年の世界陸上オレゴン100mで、7位に入賞したサニブラウン・アブデル・ハキーム(24、タンブルウィードTC)がトレーニングを行っている。サニブラウンの他にも銀メダルのM・ブレイシー(29、米国)、銅メダルのT・ブロメル(27、米国)と、100mファイナリスト3人が所属する世界トップチームだ。
「Aスキップという(動きづくりのための)ドリルがあって、そこから派生したAランをやるのですが、僕はそれが上手くできなくて、最近までそのメニューをやることが多かったですね。ハキームから『オマエ、Aランしかやってないじゃん』と言われるくらい、動きのベーシックなところからやり続けて来ました。その動きをベースにしながらブレイシー選手やブロメル選手のような、接地の強い走りを学んできた感じです」
橋岡は米国でのトレーニングの大半を、短距離の走りを身につけるために費やした。それを目的に渡米したのだが、その経緯は後述する。
日本にいても世界トップ選手たちの動画を見ることができるわけだが、現地で一緒にトレーニングを行うことのメリットは何なのか。
「彼らは卓越しきった選手なので真似はできませんが、少しわからない部分があったら実際に見て、(どうやって動かすかなど)そういうふうにやるのだな、という学び方はできます。映像だけでも技術的なところはわかりますが、現地で一緒に練習することで、ドリルをやっているところも見ることができます。レースの映像だけではわからないところを、目で見る、肌で感じるところが一番のポイントでした」
6カ月間も滞在するのは、これまでの日本選手の滞在期間よりも長い。橋岡は「郷に入っては郷に従え」という覚悟だった。これまでの走りは忘れ、タンブルウィードTCの走りを習得するために全力を傾けたのだ。