橋岡優輝(24、富士通)が大きな助走変更に取り組んでいる。ゴールデングランプリ2023横浜が5月21日、今年は横浜市の日産スタジアムを舞台に15種目が行われる。昨年の世界陸上オレゴン大会金メダリストが3人、男子100mのフレッド・カーリー(27、米国)、走幅跳の王嘉男(26、中国)、女子やり投のケルシー・リー・バーバー(31、豪州)が参戦。
男子走幅跳は王に挑戦する橋岡に注目が集まるが、「勝ちたい気持ちは絶対的にあるものですが、それよりも自分の動きがまったく完成していないので、(米国でトレーニングを積んだ)6カ月間でイメージしてきたものを、試合でどう作り上げるかに集中したい」という。橋岡が目指す動きとは、どんなものなのだろうか?
短距離的なアグレッシブな走りに
5月中旬。米国から帰国した橋岡への取材中、にわかには信じられない言葉があった。
「助走の歩数は20歩で変えていませんが、距離は6m短くなりました」
平均すれば1歩あたり30cmストライドが短くなったことになる。橋岡のストライドということではないが、異なる選手であれば2m30と2m00のストライド差は十分あり得る。しかし同じ選手が、ひと冬を越えただけで30cmも変わることは常識的にあり得ない。橋岡自身も「普通ではないですね」と感じている。
ゴールデングランプリ(GGP)をテレビ観戦する際に、パソコンなどで昨年の橋岡の動画と見比べたら変化がわかるかもしれない。助走の違いを橋岡は次のように説明する。
「昨シーズンまでの助走は(重心に)乗り込んでいくところをベースにしていました。反発をもらってそれに従って走って行く」
リズム良く弾む感じの走り方だった。今季の助走はどうなのか。
「地面に反発を大きくもらいに、より自分から踏んでいく、もっとアグレッシブに行く動きです。アグレッシブさをとろうとすると形だけになって、肝心の乗り込みが上手くいかなかったり、スピードが上手くできていなかったり、というのが現状です。やっとつかみ始めてきてはいますが、まだ納得するところには至っていません」
4月28日には米国フロリダ州で記録会のような試合に出場。8m11(+1.5)だった。8m25の世界陸上ブダペスト標準記録には届かなかったが、初戦としては悪くない。だが「全然でした」と橋岡。
「試合の中で修正もして、結果的になんとなく上手くいった感じです。その時の状態からすれば上々だったんじゃないかと、コーチとも振り返りをしました。やっとこういうような動きかな、とわかり始めたところなので、まだ先は長いのかなと感じました」
助走の走り方を変更している途中段階で、橋岡はゴールデングランプリに出場する。