
視野が欠け、視力が低下する難病「レーベル病」と診断されました。
外で歩く姿は普通の人と、変わりないように見えます。
ーー歩行者信号は見えていますか?
「見えてないです。車が止まっているかどうかで判断する。この車の音は速いか遅いかとか。『今、加速したな』とか、そういうことを考えながら歩いています」
仕事は高齢者施設のリハビリ担当です。
ーー入所者の人をどう判別していますか?
「一番は声、二番は雰囲気。こちらから挨拶して、反応の声を聞いてわかる」
「星が見えない」「映画の字幕が見えない」ロービジョン用のカメラで光を

絵本作家としても活動する福山さんですが、弱視のため、諦めてきたことも多いといいます。
福山さん
「車とかの免許、字幕のある映画を観られなくなった。星が見えないのも、星見るの好きだったので切ないですね」
福山さんのように病気やけがで目が見えづらく、生活に不自由がある状態を「ロービジョン」と呼びます。
15年ほど前の推計では、国内のロービジョン人口は、約145万人とされています。
(日本眼科医会 2009年公表)
最近、福山さんが手に入れたものがあります。

福山さん
「ロービジョン用のカメラです。顔見させてもらっていいですか、取材の皆さんの」
そのカメラで取材班を見てみると…
「見えます見えます。あ、メガネしてたんですね。わかんなかったです全然。顔見えたのがうれしいですね」
ソニーとレーザー機器を開発する「QDレーザ」が発売したばかりのもの。
カメラとセットになっている、ファインダーに秘密があります。

QDレーザ 宮内洋宜 事業推進室長
「中に小さなプロジェクターが入っている。プロジェクターから出る光を非常に弱くして、網膜に直接投影するもの」
カメラが捉えている映像を、特殊なレーザープロジェクターで網膜に直接投影しているのだといいます。
視力が0.1以下だという喜入キャスター。裸眼で景色を見ると…

喜入友浩キャスター
「全体がぼやけていて、右の茶色いものが人工物か自然のものかわからない」
この状態でファインダーを覗くと…
喜入キャスター
「あ、すごい!かなり鮮明ですね。あれは岩だったんですね、コンタクトレンズをしているのと同じような見え方」

QDレーザ 宮内 洋宜 事業推進室長
「ぼやけた世界で暮らしている人がいる。そういった人に、鮮明な映像を見たり、外で写真を撮る楽しみを感じてもらいたい」
網膜投影のカメラを持って、福山さんは生まれ育った小田原の街を見て回りました。視力が低下する前に見ていた風景です。