ハリケーン通過でも無傷 「新しい町を作ることと環境を守ることは両立できるんです」

2022年、バブコックランチが大きく注目される出来事がありました。
フロリダ州を襲った大型ハリケーン「イアン」。州内で149人が死亡し、240万世帯が停電するなど壊滅的な被害をもたらしました。しかし、バブコックランチではハリケーンが真上を通過したにもかかわらず、停電や洪水が一切起きなかったのです。
バブコックランチ住民
「停電が起きず、すごいと思いました。電力が自給できてよかったです」

バブコックランチには巨大な蓄電池が設置され、電気を失うことはありません。電線は地中の配管を通っていて、暴風で切れる心配もありません。そして、バブコックランチが災害に強い理由がもうひとつあります。

記者
「バブコックランチでは、住宅街の周りに広がる湿地帯を意図的にそのまま残しています。これが災害の際に大きな役割を果たすのです」
バブコックランチの開発に携わった環境工学博士のラングウェルさん。街づくりを始める前に行った作業がありました。
環境工学博士 ラングウェルさん
「宅地開発の前に昔の写真を検証し、水がどこからどこに流れたいのかを調べました。自然と闘っても勝てません。なので、自然を利用したかったのです」
その結果、ハリケーンの際に湿地帯が調整池の役割を果たし、洪水を起こさなかったのです。
環境工学博士 ラングウェルさん
「とても過酷なハリケーンでしたが、想定通りの結果で良かったです。湿地帯は魅力的ではないかもしれませんが、自然の要素は本当に重要なんです」
バブコックランチを開発したのはアメリカンフットボールのプロ選手だったキットソン氏。

バブコックランチ開発会社 キットソンCEO
「新しい町を作ることと環境を守ることは両立できるんです」
2005年に記者会見を行い、プロジェクトの構想を発表した時のことを忘れられないと言います。
バブコックランチ開発会社 キットソンCEO
「記者の1人に『持続可能な町ってどういう意味か?』と聞かれました。2005年当時は誰も聞いたことがない言葉でしたし、誰も理解していませんでした」
しかし、その後、地球温暖化問題など環境に対する意識が大きく変化。バブコックランチは全米でトップクラスの住宅販売を記録する人気の街になったのです。
バブコックランチ開発会社 キットソンCEO
「持続可能でクリーンエネルギーを使う町が商業的にうまくいくことを我々は証明しました。これはアメリカだけでなく世界中でも可能です。ぜひこの町を真似てほしいし、より良い町を作ってもらいたいと思います」