約500年前に造られていた『純・正暦寺産の清酒』を再現

 今年1月、取材班は奈良市の酒蔵「倉本酒造」にお邪魔しました。こちらでは、どんな清酒に仕上がるのでしょう。
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 寒空の下、酒蔵に漂うのは蒸したてのお米の優しい香り。正暦寺から持ち帰った「菩提もと」に米麹や水を加えていきます。米も水も仕上がりも各蔵次第。最終的な味わいには蔵ごとの個性が宿ります。
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 (倉本酒造 倉本隆司さん)
 「菩提もとは乳酸菌が特徴的なので、ヨーグルトの上澄みのような香りが特徴的。うちの場合は『初心者向け菩提もと』みたいな設定がありまして、比較的飲みやすめだけど、しっかり菩提もと感は残ったようなお酒を目指してやっています」
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 人の力は要所要所で。あとは微生物の力でこっくりじっくり時間をかけて。
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 そして、1か月後…

 (倉本酒造 倉本隆司さん)
 「じゃあ、搾ります。めっちゃフルーティーな香りもしておいしそうです」
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 去年、原点回帰に迫る試みが始まりました。それは、古文書に正暦寺の清酒と記されていた「菩提泉」の再現です。寺で仕込んだ「菩提もと」をそのまま搾って、かつてのように「純・正暦寺産の清酒」を造ろうというのです。
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 酸が強く出たその香りは、現在の日本酒からは想像できない独特なもの。できる量も普段の清酒に比べて10分の1以下と、きわめて貴重なものとなります。