“聞こえのいい主張” 本心とは裏腹に隠した『基地の引き取り』

このスタイルに決めたのは、千葉県議選がはじまる1月ほど前。そこには中村さんの葛藤がありました。

柏市民の反応が見たくて、日常会話などに“沖縄の基地の話題”を織り交ぜた時でした。

中村之菊さん「沖縄の話をここ柏選挙区内の有権者に対して話しても、まったく反応がない。目の前にいる相手にいうと、ハテナの顔しかされない」

明らかに鈍い“基地問題”への反応。また柏駅前で事前に街宣をしてみた時も…

中村之菊さん「元南城市町の瑞慶覧さんが『街宣するなら僕が行くよ』と言ってくれて柏に来てくれた。柏に来て喋ってもらったんですけど、誰も聞いてないですよ、沖縄の話を。間違いなく届かないんですよ」

わずか9日間の選挙期間でアピールするには、2児の母として実現させたいと願う、第二、第三の公約を全面に出さざるを得ないと考えた中村さんでしたが…。

中村之菊さん「基地を避けてじゃないけど。耳障りのいい主張をする様にしなければならないと思ったら、実は2月の半ば位にどもるようになっちゃったわけよ。喋りたいけど、言葉が出ないみたいなことに生まれて初めてなって」
長男・中村聖也さん「主張したいことと、受かりたい気持ちがぶつかり合って、本当に伝えたいことが言えない。薄々そういうのもあると思っていた」

体に異変をきたすほど葛藤していた時、背中を押してくれたのは支援者でした。

支援者「沖縄への抑圧とか差別が本当にひどくなり社会運動の要素だけでは足りない中で、やっぱり選挙で1議席を獲る。大丈夫だよということを言い続けた」
支援者「柏で響く声は届けなければならないので。中村さんの言葉で」

中村之菊さん(決起集会の挨拶)「周りの人に嘘をついているような気がしてしまう。これはものすごく私にとっては正直辛かった。皆さんに本当に毎日支えられて、毎日声をかけて頂いて。ようやく今日を迎えられたと思っている。ありがとうございます」

基地引き取りを半ば封印して臨んだ今回の選挙。でも時に唯一の女性候補者という流れから、急に基地問題へとつながる場面も…。

中村之菊さん「私は唯一の女性候補者として、声を大にして伝えたい。石垣島、あるいは与那国島、抑圧されています。私たち一人ひとりの安全保障を担うために、小さな島に、軍事基地をどんどん作っている。不幸になるなら皆で不幸になるべきです」

右翼時代に染みついた我が道を行くスタイルはそう簡単に抜けません。

中村之菊さん「ゾーンに入っちゃって。意識を失った時、本音が出ちゃう」