「障害者の単独利用割引」は誰が負担するのか
現在、国やJR、各私鉄の中で障害者の単独利用の割引についての検討はされていない。
山口さんのように障害の程度が重い人でも、一人で移動したい、一人で移動をせざる得ない人は多くいると思う。
この記事をご覧になっている人でも、駅で視覚障害者や車いすの人が一人で移動している姿を見たことがあるのではないだろうか。こうした人の多くは普通運賃を支払っている。
一人で移動できる障害者に割引を適用する必要はないという意見はあるかもしれない。しかし、山口さんたちが訴えるように多くの障害者は経済的にもハンディを抱えている。
加えて、いま私たちはより“インクルーシブ”な社会(多様性を認め、全ての人が受け入れられ、参加できる社会)に生まれ変わろうとしている。山口さんのような障害者の社会参加をより促すことができる「障害者の鉄道の単独利用割引」は社会全体で取り組むべき課題ではないか。
3月18日から多くの鉄道会社でホームドアやエレベーターなどのバリアフリー設備の整備のために普通運賃に10円が加算された。
こうしたことから多くの駅がバリアフリーの行き届いた駅になる時代を迎えるのもそう遠くはない。その時に備えて、「障害者の鉄道の単独利用割引」について国や鉄道会社の間で活発な議論を行っていくことはあってしかるべきではないだろうか。