知床の代表的な風景「ウトロの夕日」。乗客のスマホは水没したものの、クラウド上のデータで再現することができました。


道外の乗客家族
「事故前日の写真で、まさか次の日にこの海に浸かるなんて、本人は思っていなかったと思います、ふだんからそんなに写真を撮るタイプではなかったかなと思う、旅行が楽しかったんだろうと思う」

 道外に住む乗客家族は、事故後の対応について、桂田社長と国では、大きく異なると話します。

道外の乗客家族
「知床遊覧船側も国交省もよくなかったが、国交省はわれわれに対して事故後から今でも週2回(対話を)続けている、怒号が飛び交うときもあれば、涙する発言をする方もいる、我々が納得できるかどうかは別として対話は続けている、でも桂田氏はまったくそういうことはしないし、なにも誠意が感じられない」

 桂田社長は今、何を思うのか。

桂田社長
「私にできることは供養すること、毎月(乗客)全員の名前をお札に書いて、知り合いの寺で供養してもらっている、これくらいしかすることないから、人はつながっていると思うので」

 23日の追悼式典については「呼ばれていないから行けない」と話しています。

《スタジオ》
堀啓知アナウンサー
 取材をしたナギーブ記者です。今、知床のマチは、どんな雰囲気ですか?

ナギーブ・モスタファ記者
 シーズン前ということもありますが、まだ、人通りも少なく、観光客も戻っていないという印象です。

竹部礼子さん
Q.桂田社長はこの1年どう過ごしている?

ナギーブ・モスタファ記者
 確認できた範囲では、桂田社長は、斜里町内の自宅と、自身が以前経営していた宿泊施設、事務所など数か所を、人目を避けながら毎日転々としているようです。この1年、乗客家族の元に直接、会いに行くこともなく、ある家族は「補償が進んでいるという話も全く聞かない」と話しています。

平野龍一さん
Q.桂田社長への捜査の状況は?

ナギーブ・モスタファ記者
 一管本部が、今も業務上過失致死の疑いで捜査を進めています。桂田社長に先月、話を聞いた際は、「何十回も海保に行ったが、最近は呼ばれなくなった」と話していて、捜査のフェーズが変わった印象です。

堀啓知アナウンサー
 桂田社長は、去年の5月以降、公の場には姿を出していないんですよね?

ナギーブ・モスタファ記者
 そうですね、家族説明会は、5月上旬は出席していたんですが、それ以降は他のご家族の方も桂田社長を見ていないというお話でした。

堀啓知アナウンサー
 いろいろな考え方はあるかもしれませんが、これだけの事故を起こした会社の社長ということであれば、責任ある、当たり前の行動というのが、もっとあっていいのかなと感じます。

シリーズ「誓いの海」第1回、第3回はこちら

第1回「息子がどれだけ冷たい中で死んでいったのか…」乗客家族の今

第3回 3日前の検査で合格なのになぜ?コピペの改善報告書を指南「国の当事者意識と責任感」