知床の名前が、広く世界に知られるきっかけになった、2005年7月17日の自然遺産への登録。クマやクジラなど、海と陸の生態系が混じり合う希少さが高く評価されました。

 知床遊覧船の前身の会社は、2001年に設立。世界遺産登録の年=2005年には、今回沈没したKAZUⅠを購入。ブームで急増する観光客を取り込む狙いでした。


 私たちは、桂田社長に対し、これまで「対面」「電話」「メール」などで、20回近く取材を重ねてきました。その過程では、会社事務所の内部を見せたこともありました。桂田社長は今、何を思うのか?


 去年4月23日。映像は、岸壁を離れる事故当日のKAZUⅠです。沖合は一見穏やかに見えますが、現場周辺は、すでに強風注意報と波浪注意報が出ていました。


 KAZUⅠの出航中止の風速は8メートル以上。一方、強風注意報の発表基準は、それを大きく上まわる平均風速15メートル(海上)で、強風注意報が出れば、出航できないはずでした。