ロスタイムまで一進一退の混戦
9分に、フィフィタ選手がタックルを引きずりながら敵陣に侵入すると、バックス陣が巧みな連携を見せて、最後はWTBの南藤辰馬選手がトライ。14分には、元オーストラリア代表のSHウィル・ゲニア選手が、抜群の反応で、相手ボールを奪ってチャンスをひろげると再び、フィフィタ選手がトライ、あっという間の3連続トライ。
トライ後のコンバージョンキックもすべて成功して、24対26と2点差に迫り23分、PGのチャンスをつかむと、キッカーのSOジャクソン・ガーデン=バショップ選手が、見事に決めて27対26、ついに逆転に成功した。
しかし、スティーラーズもさすがに上位が常連の強豪。その後の攻撃をすぐさま、得点につなげる。ライナーズディフェンスの一瞬のスキをついて、WTBの山下楽平選手がトライ。ゴールも決めて、27対33と再び6点のリード。
再逆転には、トライとトライ後のゴールが必要なライナーズ。残り時間、10分あまり、迫力満点の攻撃を見せるが、神戸も粘り強くディフェンス。両チームの息詰まる攻防が続いた。
そして、後半40分をすぎてロスタイムに突入したラストワンプレー、相手陣ゴールライン近くのマイボールラインアウトの最後のチャンスが、ライナーズに訪れた。
「FW陣は、みんな飢えている眼をしていた。バックス陣に確認したら、ここはFWでしょうという雰囲気があった。最後の大事な局面で、みんなが同じ方向を見ていてよかった。」と野中キャプテンが語ったこの場面。
選択したのは、ラインアウトからのモール。そのモールをFW陣が、渾身の力を振り絞って、一体となって押し込んだ。最後はチーム一筋13年目、35歳のHO樫本敦選手が、インゴールに飛び込んでトライ。
「行ける! と思って、ボールを持ち出した。一人ではなく、横に野中主将もついてくれていたので安心して突っ込めた。」