「公安調査庁 内部に“スパイ”か」中国で拘束の日本人が証言

判決文で浮かび上がった、拘束された日本人と公安調査庁との接点。その公安調査庁をめぐり、鈴木氏は拘束中に驚くような出来事があったと明かしました。

鈴木英司氏
「裁判所に行くために護送車に乗りました。目の前に私の友人がいた。いろいろ車の中で話をしました。『公安調査庁には大変なスパイがいます。日本でしゃべったことが筒抜けです』と私に言うんです」

鈴木氏は、旧知の中国の外交官と再会を果たします。この外交官もスパイ容疑で拘束されていたという事ですが、車内で「公安調査庁内に中国スパイがいる」と打ち明けられたといいます。さらに…

鈴木英司氏
「取り調べのときに公安調査庁のみなさんの写真を見せられた。それも身分証明書の写真ですよ。隠してスナップ(写真)を撮ったわけではない」

取調官から、10人分の顔写真が並んだ紙を複数枚見せられ、面識のある調査官を示すよう指示されたといいます。氏名も把握していたという中国当局。

鈴木英司氏
なぜあるんですか、日本のものが。ここまで彼ら(中国当局)が把握しているのでは」

公安調査庁についてかなりの情報があるように感じた、と話す鈴木氏。
公安調査庁の情報収集活動や、調査官の個人情報が中国当局に把握されているのでしょうか。

news23では公安調査庁に対し、14項目の質問状を送付。3日後、回答がありました。
・(拘束された日本人に)情報取集を依頼したか
・判決文の“調査官”の存在など

公安調査庁の回答
お尋ねについては事柄の性質上、お答えを差し控える

松野博一 官房長官(4月18日会見)
「他国の司法の判断に関わることについて、コメントすることは差し控える。公安調査庁の情報収集活動に関するお尋ねについては、公安調査庁にお尋ねいただきたい」

「情報収集の手段“検討すべき”」 専門家が指摘

一方、判決文を分析した中国法の専門家は、次のように指摘します。

明治大学法学部 鈴木賢教授
「公安調査庁が鈴木氏に、継続的に接触してきたことが、処罰につながっているということは、公安調査庁に非常に重い責任があると思う。今後、公安調査庁として、どのように情報収集活動をするか、改めて検討する必要があると思う」

公安調査庁が関わっているのであれば、当事者に対し説明の責任があると指摘。その上で、一連の中国当局による拘束の問題について、次のように警鐘を鳴らします。

明治大学法学部 鈴木賢教授
(中国の)人権に対する考え方は、世界の常識と違う。彼らは彼らなりに『当然のこと』という認識。そのことを十分に自覚した上で、中国と付き合わなければならない」

小川彩佳キャスター:
今回の判決文の2人については、公安調査庁との接点が指摘されています。
一方で、拘束された他の15人については、いまだ何が”スパイ行為”とされているのかわかっていません。