担当デスクとして寝屋川事件を統括

弊社MBSは地上波テレビ放送で特定少年2人の実名を報道した。WEBではインターネットの特性を考慮し匿名とした。局内で長い時間をかけ議論し様々な観点を検討した上で判断した結果である。法制度が変わり、社会が受け止めていくことになる特定少年の実名報道。自身にとってファーストケースとなった報道を終えてからの感想を言わせてもらえば、予想以上に悩ましく難しい問題であったというのが正直なところだ。今後も特定少年を実名で報じるかどうか判断を続けていくことになるのだが、毎回その時々の担当者が思い悩みながら慎重な判断をしていくことになるだろう。
割れた報道各社の判断 MBSでは…

MBSとして結論にいたるまで、私のようなデスク、大阪府警、司法の現場を担当する記者、そして管理職を含め複数回かなり時間をかけて協議した。局内全体から意見を募り議論を呼びかけもした。
すべては割愛するが、実にさまざまな疑問が出され、意見が交わされた。
「寝屋川事件を『重大事件』と考えて実名報道に踏み切ってしまってよいのか?」
「殺意があるかないかは重要ではないか?」
「殺意の有無で線引きして、殺意が無い時は匿名としてしまってよいのか?」
「金を奪う目的で、執拗に暴行を加えて刃物で刺す行為はどう考えても悪質ではないか」
「少年審判を行う家庭裁判所の逆送決定内容を読むと19歳の少年に酌むべき事情があるのではないか?」
おそらくこの事件での判断で100%正解というものは無いだろうし、事件を含め特定少年の実名・匿名報道に対して個人としての考えや思いに違いもあるだろう。ただ、MBS報道情報局という一つの組織としては健全な議論を経た上で結論を出せたと思うし、正しい選択ができたと自負はしている。

















