後にJNNが確認したところ、入り口は厳重な警備が施され、「ロシア大統領府総務局子どもの医療センター」という看板が掲げられていた。

HPによると、最新の設備を取り入れた子どものリハビリ施設だという。

マトベイ君
「男の子は1階、女の子は2階に泊っていました。スケジュールはとても忙しかったです。断ることは出来ませんでした」

朝6時に起床し、体操のあと朝食。その後は勉強をしたり、ゲームをしたりする時間もあった。時にはダンスパーティーやモスクワ市内の見学もあったという。そして、こんなことも…。

スビャトスラバちゃん
「ある日、講堂に全員集められプレゼントが配られたよ。私たちはゲームをもらった。Nintendoです」

実はマリウポリの31人の子どもがモスクワ州の施設で過ごした事実は、ロシア政府が堂々と公表している。その中心にいるのが、子どもの権利を担当するマリヤ・リボワベロワ大統領全権代表だ。

自身のSNSで、子どもたちと一緒に歩いたり、3兄妹の長女・スビャトスラバちゃんを抱きしめたりする映像も公開している。リボワベロワ氏は動画の中で活動の意義を強調していた。

マリヤ・リボワベロワ氏
「31人は非常に厳しい運命にある子どもたちです。医療支援や心理的なサポートを受けられるようモスクワ州に来るよう提案しました。最も重要なのは、子どもたちの未来の根幹を作ってあげることです」

そして、施設で過ごす予定の2週間が過ぎた。すると2人の職員がマトベイ君のもとにやってきて、こう告げたという。

マトベイ君
「『砲撃が行われているのでドネツクに連れ戻せない』と」
「『養子になるか孤児院に行くかを決めなければならない』と言われました」

職員は、特にロシアで養子になることを強く勧めたという。