所得の逆転現象
重度心身障害の子どもがいる家庭(母親は専業主婦、ほかに健常児の子供がいる4人家族、子どもは3歳以上中学生以下)を例に「生活にかけられるお金」を計算してみた。
①世帯年収750万円の家庭(所得制限なし)
手取り額 約580万円
+児童手当 24万円
+特別児童扶養手当 62.88万円
+障害児福祉手当 17.82万円
-「デイサービス等利用料」 最大5.52万円
-「補装具費」 最大3.72万円
=生活にかけられるお金 675.46万円
②世帯年収1200万円の家庭(所得制限あり)
手取り額 約850万円
+所得制限で各種手当 0円
-「デイサービス等利用料」 最大44.64万円
-「補装具費」 約135万円
=生活にかけられるお金 670.36万円
2つの家庭を比べてみると・・・
①世帯年収750万円の家庭 →「生活にかけられるお金」=675万4600円
②世帯年収1200万円の家庭 →「生活にかけられるお金」=670万3600円
「所得が多い家庭の方が使えるお金が少ない」という“逆転現象”が起きているのだ。

厚生労働省の調査によると、子ども(18歳未満の未婚者)がいる世帯の平均年収は、813.5万円である。
上述の① ②はあくまで例だが、平均年収を大きく上回る年収1200万円の家庭は、平均よりも低い年収750万円の家庭と生活にかけられるお金に大差はなく、決して余裕のある生活はできないと容易に想像できる。