■素手で食肉処理 腕に動物の血も気にせず…
火が通っているものを食べる分には問題はない。ジーカ博士いわく、人獣共通感染症にさらされる危険があるのは、ブッシュミートとなる動物を捕まえる時、そして、その動物を食肉処理する時だという。

ガーナ林業委員会野生生物局 メイア・ジーカ博士:
食肉処理する人たちの中には素手でやる人たちもいる。うっかり指を切ったりすると、傷口から動物の血が入り込んでしまう。専門で処理する人たちだけではありません。客の中には買って帰って自宅で捌く人たちもいますしね。
実際、ガーナで最初のラッサ熱の感染例は、食用に取ったネズミが原因だとみられている。
マーケットの中には、持ち込まれた動物を処理する場所もある。

ここでも作業は素手で行われていた。腕には動物の血がたくさん付着していたが、全く気にする様子はない。
ジーカ博士:
こういうことが問題なんです。ここの人たちを啓発して、ちゃんとしたやり方で処理をするように訓練しないといけないのです。
働く人たちに手袋をつけさせる指導などを行ってきたというが、反応はあまり良くなかった。

ブッシュミート市場の広報担当:
以前、手袋をつけるように言われたことがありますが、私たちが手袋しているのを見ると、お客さんが逃げてしまうんです。手袋をしていると、お客さんは肉に何かおかしいところがあるんじゃないかって思うんですよ。
ブッシュミートは貴重なたんぱく源であると同時に、捕獲して売る人たちにとってみればすぐに換金できる商品でもある。販売する女性たちも「良い仕事」だと語る。
ブッシュミートを売る女性:
畑仕事と違って座って待っていればお客さんが来るので楽。この商売で10人養っています。
ジーカ博士:
ブッシュミートは文化の一部で、無くなることはありません。だから、人獣共通感染症の病原体が人間に広がらないようなやり方でやるしかないんです。
野生動物から未知の病気に感染するリスクは長く知られてきた。HIVもサルとの接触が始まりだとみられている。にも関わらず、人間は自ら動物との距離を縮め続けている。
ガーナ大学 スイレ上級講師:
人間が動物にかなり近寄っているんです。開墾、森林伐採、採掘などの活動を通じてね。