■野生動物「ブッシュミート」そのリスクとは?記者も試食

野生動物との関わりは、ここでは生活の一部でもある。幹線道路沿いでは、男たちが野生動物を掲げていた。巨大なネズミの仲間グラスカッターや、アフリカン・シヴェット、ジャコウネコの仲間も。
野生動物を売る男性:
うまいよ!
ーーいくら?
野生動物を売る男性:
600セディ(約1万円)
ガーナを含むアフリカ各地では野生動物は「ブッシュミート」と呼ばれ、たんぱく源として流通している。もちろん街中でも売っている。

アンテロープ(シカに似た動物)は150セディ(約2550円)、サルは250セディ(約4,260円)。そしてコウモリは1つ8セディ(約135円)。ブッシュミートは家畜に比べて脂肪分が少ないため、健康的だと考える人も多いという。
ーーどれが一番好き?
ブッシュミートを売るジョイスさん:
サルですね。アンテロ―プも。
しかし、このブッシュミートも、人獣共通感染症のリスクと隣り合わせだ。

ガーナ第二の都市クマシ。巨大な市場の一角にブッシュミートを専門に扱うマーケットがあるというので訪ねることにした。ガーナ林業委員会・野生生物局のメイア・ジーカ博士が案内してくれた。
ちなみにジーカ博士はクマシ動物園の獣医兼責任者でもある。博士と落ち合うため、朝、動物園に行ったら敷地内を複数のラクダが散歩していた。
マーケットではグラスカッターやアンテロープを中心とした、ブッシュミートが売られている。大量に保管するための冷凍庫もあり、「チョップ・バー」と呼ばれるブッシュミートの料理店もあった。
「ここのは美味しいからわざわざここまで食べに来るんだよ!」と、洒落た眼鏡をかけた近所の会社勤めの男性が教えてくれた。
秌場記者:
せっかくなので、ちょっとだけ食べてみようと思います。実はお腹の調子があまり良くなくて、出来れば万全の状態で臨みたかったのですが…
唐辛子を使ったひたすら辛い赤茶色のスープに、アンテロープとグラスカッターの肉を一切れずつ盛ってもらう。
まずはアンテロープにかぶりついてみた。確かに脂肪分が少なく、シカ肉のような印象。
腹具合が悪いのでよく咀嚼する。
続いて、グラスカッター。「調理前」の姿が頭に浮かぶが、払拭して、口に運ぶ。

秌場記者:
こちらはグラスカッターですね。パサついたチキンを食べているような、そんな食感です。臭みとかは全然ないですね。スープで煮込んでいるからだと思いますけど。