長年、出荷量の減少に悩む泡盛と近年、在庫が増え販路開拓が課題となっている黒糖。その2つを掛け合わせた世界でも珍しいリキュールがこのほど完成しました。発案者は、”世界一”のバーテンダー。泡盛と黒糖の消費拡大も期待される新たなリキュール、その魅力と可能性に迫ります。

瑞穂酒造 商品開発室 仲里彬さん「より世界に目を向けるきっかけとなった商品が本日のメインとなります「KOKUTO DE LEQUIO」になっております」

”琉球の黒糖”と名付けられたこの商品、その発案者は2006年にアメリカに渡った後、2012年、カクテル競技の世界大会で優勝したバーテンダー・後閑信吾さんです。

2017年には、世界一のバーテンダーの称号である「International Bartenderof the Year」に輝くなど、いま世界で最も注目を集めるバーテンダーの一人です。

後閑信吾さん「ものすごいシンプルな材料ではあるんですけど、かなり複雑で面白い味が出来上がったと思います。」

一般的なリキュールは、無味無臭に近い蒸留酒などに香り成分を加えて作りますが「KOKUTO DE LEQUIO」は、本部町のさくら酵母を使った泡盛に県産の黒糖や黒糖を使ったラムをブレンドした世界的にも珍しいリキュール。

売り上げ目標はー
後閑信吾さん「本数の目標ということではないが、黒糖が足りなくなるくらいが目標って感じですかね」

この日、リキュールを製造する那覇市の瑞穂酒造を訪れた後閑さん。
開封した後の保存状況に応じた味や香りの変化を確かめます。

後閑信吾さん「全然大丈夫でしょ!全然問題ない。黒糖と泡盛のパワーですね」

リキュール誕生のきかっけは、およそ1年前、瑞穂酒造で商品開発を手掛ける仲里さんとの出会いでした。

後閑信吾さん「泡盛、洋酒、色々作っているから見に来て欲しいっていうので、見に行かせていただいて、その時に泡盛の現状や黒糖の現状を聞いて」

県酒造組合によると、2021年の泡盛の総出荷量は、17年連続で減少。新型コロナの感染拡大に伴い、外食・観光・インバウンド需要の減少も大きく影響しました。

さらに県黒砂糖協同組合によると、県産黒糖の在庫状況は改善傾向にあるということですが、今後も継続的な販路開拓や商品開発が課題となっています。

瑞穂酒造 商品開発室 仲里彬さん「信吾さんもずっと「何かできることあるよね、俺らで」っていうのをおっしゃった。その場でもすぐ試作すぐしたいなっていうのが込み上げてきたっていうか」

泡盛や黒糖の課題、そして可能性を感じた後閑さんの発想に仲里さんの情熱が加わり「KOKUTO DE LEQUIO」が生まれました。

後閑信吾さん「合わせる材料によって、さっぱり炭酸ゴクゴク系からこってりミルク系まで幅は持たせられますね」

世界一のバーテンダーが手掛けた黒糖リキュール。世界がその味に酔いしれる日はそう遠くないのかもしれません。

【記者MEMO】
「KOKUTO DE LEQUIO」の国内販売は4月中旬から。年内には、後閑さんらが流通ルートを持つ中国やアメリカでの販売も予定しています。
後閑さんは「海外の人に沖縄や泡盛、黒糖を知ってもらい、これをわざわざ飲みに沖縄に来てもらえるようなきっかけになれば」と話していました。

ちなみに…県黒砂糖協同組合によると、「黒糖」という言葉は、厳密には「ブラウン・シュガー」と訳せないそうで、「KOKUTO DE LEQUIO」が「KOKUTO」という表現を世界に広げてくれるかもしれません。