“何があっても園が命を守り抜く”

3月2日の午前9時半。いつも通りのおおつちこども園。

突如、サイレンが鳴り響いた。4歳以上の園児たちは自主的に近くの先生のもとに集まってくる。木村先生が人数を素早く確認。

園では、いつ実施するのか保育士にも知らせない「抜き打ちの避難訓練」を行っているのだ。

5歳児たちは、両手で頭を守りながら、自分たちの部屋へ。前野先生から防災頭巾を受け取ると、慣れた手つきで被っていく。

準備ができると…前野先生の合図で、園児たちが一斉に外に駆け出していく。

1歳児を担当する太田先生らは、泣いている子を抱えたり、おぶったり。園児たちに声をかけながら、防寒着も着せなければならない。

「園児を保護者に絶対に引き渡さない」という決断は、同時に“何があっても園が命を守り抜く”という重い責任を背負うことを意味する。

太田先生
「少しでも真剣に先生たちもやらないとやっぱ分からないものもあるので。子どもたちに自分を守る大切さとか、何か命の大切さとかを知ってほしいなと思います」

訓練終了後…

八木澤 園長
「先生たちはみんなを一生懸命避難させようと思って。誰か笑っている先生いた?」

子どもたち「いなかった」

八木澤 園長
「笑っている友達いた?」

子どもたち「いない」

震災を経験し、“いのちの尊さ”を知った保育士たち。太田先生には、大切にしていることがある。

太田先生
「やっぱり、いつどんな時にこういう大きな災害があるかわからないので、1日1日を大切に過ごして子どもたちが毎日笑顔でいられることが大切だと思う」

12年前、子どもだった保育士たちの思いが、いまの子どもたちに引き継がれていく。