■「ある日、目が覚めたら、戦争が始まっていました」


イリナさんが暮らしていたのは、ウクライナ西部の、テルノーピリ。

イリナさん:
最近、マンションを買ったばかりでした。家具も新しく買って、新生活が始まったところだったんです。



結婚7年目で生まれたマキシム君を夫・ワーシャさんは誰よりも可愛がり、色んな所に連れて行ったといいます。


これは今年1月、両親が暮らす南部の町、ヘルソンに行った時の写真です。しかしこの時からわずか2か月後…

イリナさん:
この駅も爆撃されました。両親が経営していた市場にあるカバン店も爆撃され、
現在はウクライナ西部に避難しています。

国山ハセンキャスター:
この(写真の)時は、当然こんな風になるなんて思ってもなかったですよね?

イリナさん:
ある日、目が覚めたら、戦争が始まっていました。


ヘルソンは3月初めにロシア軍に制圧されました。一方的に親ロシア派がトップに就任し
通貨がロシアのルーブルに切り替えられるなど、ロシアの実効支配が進んでいます。当たり前だった日常が、ある日突然奪われる現実。

親子が共に暮らす日常も奪われました。ウクライナに残る夫・ワーシャさんはいつ徴兵されるかわからない状況だといいます。今は電話でやり取りをしています。


イリナさん:
マキシム、パパを両手で持って。パパだよ。会いたいね ハグしてあげて。

ワーシャさん:
パパもすごく会いたいよ。



国山ハセンキャスター:
すごく辛いですね、離れ離れは。

イリナさん:
マキシムは前より話せるようになったし常に成長しています。新しい歯も二本生えてきました。でも、夫はこれを見ることができないんです。


様々な思いを胸に、彼女は今日も、舞台に立っています。