きっかけは東日本大震災…被災地での経験から指導員を目指すことを決意

 そもそも、山本さんが救急法を本格的に学ぶきっかけとなったのは“ある経験”からでした。2011年3月11日、最大震度7の揺れと津波が各地を襲った「東日本大震災」です。京都府警も発災直後から警察官を派遣。当時、機動隊に所属していた山本さんも被災地に向かいました。ところが…。
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 (山本隆之警部補)
 「苦しんでいる人たち、当然ご家族が亡くなられた方もおられますし、そういう方の少しでも救いになれたらなと(思ったけど)、なかなか人を助けるというのはなかったです」
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 山本さんは被災地での経験から「警察官だけでなく一般の人にも救急法を広めることで、より多くの人を助けたい」と考え、指導員を目指すことを決意。しかし、指導員になるために必要な日本赤十字社の資格を取るまでの道のりは決して簡単なものではありませんでした。

 (山本隆之警部補)
 「やっぱり全てがしんどかったですね。家に帰って家族を捕まえてですね、包帯の手当などの練習とかも家に帰ってもしていました」
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 山本さんを指導員として育て上げた講師・小林和博さん。当時の山本さんの貪欲な姿勢がいまでも忘れられないといいます。

 (小林和博講師)
 「(山本さんは)人よりも真っ先に来られて、朝一番から最後の最後まで練習されていたり、休憩時間にも質問に来られたりとかっていうことで、意欲的に取り組んでもらっていたという印象がすごく強いですね」

 こうして山本さんは2012年、救急法の指導員に合格。これまで10年以上、ほぼ毎週のように休日などを利用してボランティアとして一般の人に救急法を教えてきました。