チームをまとめるには「とにかく結果を出す!」

 (林)「(今の会社に)転職されて『ハルメク』編集長としての活動が始まった時、まずどんなことをお考えになったんですか?」
(山岡)「突然やってきた私がリニューアルを始めるわけなので、当然嫌われるだろうなと思ったし、抵抗があるのも覚悟していました。実際、異を唱えるスタッフも…まあ、いて当然だと思いますけど、いました」

 (林)「ああ…」
(山岡)「でも雑誌編集者の素晴らしいところって、読者が喜んでくれたり雑誌の部数が伸びると素直に嬉しいんです」

 (林)「じゃあ結果をしっかり出して、それで引っ張るしかないと?」
(山岡)「そうです。とにかく早く、小さな成果でもいいから早く結果を出そう、と。結果が出ているのにまだ抵抗するってことはあんまりないので」

 (林)「編集長も1つのチームのリーダーですよね?リーダーとして心がけていることはありますか?」
(山岡)「1つは、全体の2割ぐらいはしっかり見て、(そのほかの)任せられるところは任せる。入口と出口はしっかり見るんですね。こういう企画をやろうっていう目線合わせはそれこそ前半3か月かけて真剣にやるんですけど、担当が決まったら後は任せます」

 (林)「上がってきたものが『ちょっと違うぞ』っていうことは、ないんですか?」
(山岡)「それはもちろんあります。でも『ハルメク』には、最初にこういうものを目指しているよねっていうゴールがあるので、そこに対してズレていると説明すれば、それでもめたりはないです」

「自分のコピー人間がいれば…」は間違い

 (林)「意外と日本の組織では、上の人であまり聞く耳を持っていない方っていらっしゃいますよね」
(山岡)「そうですね。私も、実は…20代のときはそうでした、ハハハ…。29歳で初めて編集長を任されたんですけれども、当時は部下の書いてきた原稿を見て『なんで私みたいに書けないんだろう』って…」

 (林)「おっしゃったんですか!?」
(山岡)「これ、今言うと人でなしって思われそうですけど…」

 (林)「おっしゃったんですね?」
(山岡)「そうですね(笑)。内心、『これ私だったら5分で書けるのに、この程度の原稿になんで半日かかるのかな?』と、その時はそういう風になってしまっていて。当時会社の大先輩だった方に『どうしたらいいかわからない』って相談したんですね。そしたらその大先輩が『山岡さん、もしかして自分のコピー人間が何人かいたらいいのになって思っていないですか?そういう考え方は違うよ』『そこからは山岡さんが思いつく範囲のものしか生まれないよね』って言ってくださったんです」

 (林)「なるほど」
(山岡)「それが今もすごく、その後の私のチームビルディングの指針になっています」

そして山岡編集長は最後に、リーダーとしての自身の背中を押す考え方を一つ披露した。

(山岡)「転職する時や新しいことにチャレンジしようとする時、“怖いな”と感じた時に思っていることがあって。それは、“失敗しても別に死にはしない”っていうことです。失敗した場合のシナリオは…評価が下がる、上司に怒られる、周りから嫌味を言われる。その程度だなって思うんですよね。その程度のリスクなら、新しいことにチャレンジしてみるのもいいんじゃないかなって思うようにしています。『チャンスがあるならやったらいい、それで想定される最悪シナリオは大したことじゃない』って」
 (林)「そう腹をくくってチャレンジして結果が出れば、得られる喜びはとっても大きいですもんね。失敗した時って思ったほど大したことないですよね」


※このインタビュー記事は、毎週日曜日の夜10時から放送している「日曜日の初耳学」の人気企画<インタビュアー林修>5月1日放送回の内容をもとに再構成しました。<インタビュアー林修>は、林修先生が"時代のカリスマ"と一対一で対峙する番組人気企画。今回の山岡朝子氏の出演は、林修先生自身のたっての希望により実現したものです。