そもそも日本銀行総裁は、どんな仕事をしている?

塩澤崇さん: 最近は、世界各国中央銀行のトップは『超一流の経済学者』がなるという状況ですので、植田さんも仲間にスッと入れる、彼らからいろんなアイデアをおそらく引き出せると思うんです。日本にとっては、「世界中の優秀な頭脳を味方につけることができる」っていうことで期待できる存在なんじゃないかと考えております。
―――では改めて日本銀行は何をしているの?というところですが、「物価の番人」と呼ばれ基本的には「物価の安定を図り、国民の生活を守る」仕事です。日銀総裁の役割は、年に8回金融政策決定会合が行われ、ここで議長を務め、金利の水準などの方針を決めるという役割を担っています。現在の日銀総裁・黒田氏は「アベノミクス」の屋台骨、異次元の金融緩和政策を実行しています。塩澤さんは、この10年間をどのように評価されますか。
塩澤崇さん: そうですね、黒田総裁は低金利にすることによって日本経済を回復させることができると、金融政策に絶大な自信を持っていた方なのかなと思います。その良かったところは外野から何を言われようと、「もう低金利だ」とやり続けた点は、評価できると思うんです。
一方で、金融政策で何でもできると考えていたがゆえに、例えば政府、今なら岸田さんに対して「もっとあれやって、これやって」という催促があまりなかった。そこが政府を野放しにしてしまい、緊張感がなかった点が、やや残念だったかなと振り返っています。
―――いっぽう新総裁候補の植田さんは、塩澤さんによると「金融政策の限界を知る人」ということですので、黒田さんとはずいぶん印象が違いますね。