2度目の侵攻 2度目の避難… それでも気丈にふるまうユリアさん

家族が暮らすミコライウも、甚大な被害を受けました。

放心状態で何もできない、里親のリアシェンコさんに代わって、ユリアさんは率先して避難を誘導したといいます。

ユリアさんの里親 リアシェンコさん
「ユリアが『ママ、すぐに荷物をまとめて逃げよう。30分以内に荷物をまとめて行こう』って」

家のすぐそばを爆撃されたため、家族7人は4月に隣国モルドバに出国することを決意。
3姉妹にとっては、ドネツクからミコライウ、そして隣国モルドバへと、再びの避難を余儀なくされました。

モルドバの最初の避難先だった家を、ユリアさんが案内してくれました。
古い建物のため、家の中でも冷え込みが厳しく、家族7人がこの部屋に集まって暖を取ったといいます。そんなとき…

ユリアさん「子どものころ、私の家にもこういうストーブがありました。過去の記憶がよみがえりました」

深い心の傷を受けたことから、一時は記憶を失ったユリアさんですが、行方不明の両親のことを、少しずつ思い出せるようになってきたといいます。

ユリアさん「戦争が終わったら、両親を捜そうと思っています」

「彼と結婚するためウクライナに」 新たな家族を築く決意

ユリアさんの気がかりは、ウクライナに残って兵士として戦っている、婚約者・ウラディスラフさんです。

実は、ユリアさんは2022年11月、周囲の反対を押し切って、ウクライナのミコライウに、一時帰国。ウラディスラフさんと結婚するためです。

ユリアさん「毎日、毎日、ずっと彼のことを思っていました。彼に会うため、結婚するため、彼を抱きしめるために、ウクライナに戻りました。ひとこと挨拶したあと、二人で抱き合って、何も話しませんでした。私には、今は夫がいる。これから、私の家族を築いていくんだと」

2人だけの結婚式を終えて、モルドバに戻ったユリアさん。

お腹には、新たな命が宿っていました。

ユリアさんは、引き取り手のなかった3姉妹を受け入れてくれた家族がいたからこそ、今の自分があると話します。

ユリアさん「この家族がいなければ、違う人生だったと思います。今のような幸せな生活は、送れていませんでした」