ビルの高層階を大きくゆっくりと揺らす「長周期地震動」。レベルによっては立っていられないほどの揺れをもたらします。この「長周期地震動」が2月1日から緊急地震速報に追加されることになりました。そんな中、高層階の揺れを慣性力を用いて抑える最新技術も開発されています。

1~2m揺れるおそれも…高層階で揺れが大きい『長周期地震動』

 2011年3月11日、ゆっくりと揺れる東京都内の超高層ビルの映像。大規模な地震の際に起きる「長周期地震動」と呼ばれる現象です。

 (リポート)
 「結構な揺れですね。やばいやばい。今、新宿の35階のビルですごい揺れを感じています」
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 地震の揺れが1往復するのにかかる時間を「周期」といい、長周期地震動は文字通り「周期が長いゆっくりとした揺れ」を意味します。ビルやマンションの高層階になるほど揺れが大きいのが特徴です。
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 また、長周期地震動は震源から遠く離れた場所にも伝わりやすく、実際に東日本大震災の際には大阪・南港にある大阪府の咲洲庁舎が大きく揺れ、破損やエレベーター停止による閉じ込めなどが起きました。
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 将来、南海トラフ巨大地震のようなマグニチュード9クラスの地震が起きれば、東京や大阪などの超高層ビルの最上階の揺れ幅は2mにまで達するおそれがあるとされています。工学院大学建築学部の久田嘉章教授に詳しく聞きました。

 (工学院大学建築学部 久田嘉章教授)
 「『超高層ビルはよく揺れる』ということを覚えておいていただけたら。超高層ビルは安全なんですけど、大きく揺れて人間のスケールから見るととんでもなく揺れる。何十cm、場合によっては1m~2m揺れる」
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 こうした現状を踏まえて、気象庁は2月1日から長周期地震動による被害が予想される場合にも緊急地震速報を発表します。

 長周期地震動の揺れの大きさには4つのレベルが設けられていますが、立っていることも難しくなる「階級3」以上の揺れが予想される地域に緊急地震速報を出して警戒を呼びかけるのです。震源近くの地域に緊急地震速報が発表された後、長周期地震動が予想される別の地域に追加で緊急地震速報が出されるケースも想定されます。

 では、長周期地震動の揺れに見舞われた場合、私たちはどんな行動を取ればいいのでしょうか。

 (工学院大学建築学部 久田嘉章教授)
 「超高層の建物そのものは耐震性は非常に高いので、ビルがつぶれるということはまず考えられないので、ビルの中にとどまる。あわてて非常階段で下りようとして、その後の揺れで階段を踏み外してけがをするほうがかえって危ないし、外に出ると落下物があったりする。あわてて逃げたり外に出たりしない方がいいです」