■ウクライナ各地で掲げられる「戦勝旗」 5月9日はロシアが“ヨーロッパを救った日”?
井上キャスター:
5月9日の戦勝記念日に向けた動きです。
4月19日のロシアメディア「イズベスチャ」のツイッターによると、ロシアが制圧した地域のウクライナ・ヘルソンで、第2次世界大戦で旧ソ連が掲げた「戦勝旗」が多く出現しています。
こういったものをロシアの国営放送で流して、“ウクライナのために我々は平和を守り、陣地を広げているんだ”ということで国内向けに情報発信しているという形です。
「戦勝旗」(アメリカ・CNNより)
・1945年5月9日、第2次世界大戦時にドイツのベルリンで掲揚
・4月20日公開の動画では兵士がウクライナの行政庁舎に戦勝旗を取り付ける様子も
ロシア大統領府HPの去年5月9日の写真をみてみると、ロシア・モスクワにある赤の広場で軍事パレードを行ったときに、全く同じ旗が掲揚されていました。ウクライナ国内の様々な場所で掲げられる事態になっています。
また、ロシアの支持を示す“Z”という文字も、4月15日のモスクワの写真には建物に大きく掲げられています。4月18日の夜に撮影された写真には、建物の窓の光を利用して“Z”をあしらっています。

ロシアが一方的に独立を承認した“ルガンスク人民共和国”の兵士の妻たちで結成された「ビクトリーシスターズ」の動画がテレグラムで公開されました。

▼ビクトリーシスターズ 歌詞
「この地球には大きい国がある それは素晴らしい祖国」
「気概があり豊かで広大な国土 ロシア」
「栄光あれ私の祖国 英雄のことを忘れないで 聖地 勝利した5月 ロシア」
井上キャスター:
“プロパガンダ”“国威発揚”ということになるわけですが、最後にダンスの中で“Z”の文字を表現するということ。親ロシア派が制作・拡散したとみられる動画です。
ホランキャスター:
こういった動画や街中のZの文字、旗などを見せることによって「ロシアが勝った」ということを既成事実として作り上げる意図があるんでしょうか?
畔蒜 主任研究員:
まさにこの5月9日の対独戦勝記念日と今回のウクライナの戦争をぴったりと重ね合わせて、5月9日を迎えようとしていると思います。
ホランキャスター:
ロシアがどんな行動をとったとしても、ウクライナを傷つけるような行動しかしていないようにしか見えないです。
田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士):
外から見ればそのようにしか見えないですよね。ここは畔蒜さんにも伺いたいのですが、国内に対してプロパガンダをするということは理解ができますが、これは国外に対しても、何かメッセージがあるのか?
それとも全く国外のことは無視をしているのか、どうなのでしょうか?
畔蒜 主任研究員:
もちろん国内向けのプロパガンダというのは一番大きいわけですけども、国際的に見たときに「5月9日」という日は、ロシアが第2次大戦で“ナチスドイツを倒して、ヨーロッパ・ユダヤ人を救った”という日。ですから、これをヨーロッパの人たちがどう受け止めるかということとは別に、ロシアとしては「我々があるから今の欧州があるのだ」ということを言っているのだと思います。