大阪府と大阪市が2029年の開業を目指しているIR事業。しかし、そのIR用地をめぐる不動産鑑定で様々な疑惑が浮上している。そして大阪市は審議会で価格は適正と判断されたため問題ないと話していたが、当時の審議会の委員5人を取材すると、3社の数字が一致したことやIRを考慮していないことが審議の対象になっていないことがわかった。
IR用地の鑑定額が『4社中3社で一致』
大阪府と大阪市が誘致を進めるIR(カジノを含む統合型リゾート)。大阪市はアメリカのMGMとオリックスの共同グループに対して、35年間にわたり夢洲の土地を貸し出す方針だ。
その土地の賃料などをめぐって浮上した疑惑。それは不動産鑑定が3社で一致していたことだ。
大阪市はIR用地の価格を算定するため4社に不動産鑑定を依頼した。不動産鑑定とは、その土地で考えられる使用方法のうち最も高く売れる使い方を判定して、鑑定評価額として示すものだ。鑑定士によってバラツキがあるのが業界の常識とされている。
しかし、4社のうち3社が土地の賃料を1平方メートルあたり428円と鑑定。この3社は土地の価格や利回りもピタリと一致していた。
去年12月15日、鑑定を依頼した大阪港湾局は次のように話した。
(大阪港湾局販売促進課 兼坂晃始課長)
「各鑑定業者の価格がたまたまと言いますかピッタリ一致していると考えています」