「VIVANT」への導入経緯

さて、そもそも「VIVANT」の第2シーズンで、生成AIが本格利用されることになったのには、どういった経緯があるのだろうか。この点について答えてくれたのは、TBSテレビでAIの積極的活用の旗振り役を務める、イノベーション推進部(マーケティング&戦略局)の宮崎慶太部長だ。

「私がリーダーを務めているTBSの『AI活用プロジェクト』で、以前からお付き合いのあったGoogle Cloudさんから『Veo3』をトライアルで使用させていただけるという話になりました。

そして『Veo3』の使いどころを探っていたところ、プロジェクトメンバーのひとりであるデザイナーの王怡文さんが『VIVANT』での活用を宮崎陽平監督に提案したのがきっかけです。

私の仕事としては、その活用アイディアをオンエアで実際に使える状態にするために、TBS内の生成AIガイドラインの改定(注)など、ガバナンス周りを整えていました」

(注)生成AIガイドライン改定の詳細は、1月の記事「テレビ局の制作現場でも始まった生成AIの本格活用~「泥臭いDX」を目指すTBSの取り組み~」を参照。

TBSテレビ・イノベーション推進部 宮崎慶太部長

2つの懸念の払しょくで決断

また、Google Cloudの規約の中で2つのリスクへの懸念が払しょくされたことも、生成AI活用を決断する上で大きかったという。そのひとつは、エンタープライズ契約によって、入力した社内のコンテンツや情報がAIの学習に使われることがなく、外部に流出するリスクがない環境を整えたこと。もうひとつは、生成された映像が結果的に第三者の著作物に似てしまった場合の著作権侵害リスクについて、対応の道筋をつけられたことだ。

特にこの2点目について、宮崎部長はこう説明する。

「規約上『AIに適切なプロンプトを入力していれば、仮に裁判を起こされたとしても、裁判費用はGoogle側が支払う』とされています。つまり『TBS側で意図的に似せて著作権侵害しようとしていない』という証拠があれば、法的責任を負うリスクはありません。そこで、『プロンプトのログは必ず残す』というルールを設けた上で活用することを決めました」

2025年10月のGoogle Cloud主催イベントで「Veo3」導入を発表