「声を出したい」自分との“約束”

高校最後の夏を終え、智洋さんは、大きな決断をした。

そば部顧問 丸山淳一先生
「とも!ちょっと手伝って!」

全国の定時制高校で行われる、生活体験発表。智洋さんは全校生徒の前で、自分の声で作文を読むことにしたのだ。

そば部顧問 丸山淳一先生
「群馬(での全国)大会のときに一言出た。それがすごく自信になっていたので、今回もいけるのではないかと」

場面かん黙を克服しようと努力してきた3年間の思い。タイトルは『約束』。

原稿には、意識することをびっしりと書き込んだ。

丸山先生と、何度も練習を重ねた。

そば部顧問 丸山淳一先生
「OK!7分ぴったし!」

そして、発表当日を迎えた。声が出るかは、前に立ってみないと分からない。

司会
「10番、伊藤智洋さん」

伊藤智洋さん
『約束』伊藤智洋
私はある日、新聞を読んでいると、ある記事が目に留まった。
『普通って何ですか』というタイトルだった。
内容は、発達障がいがある人の生きづらさである。
読み進めていくと自分と重なる部分が多く、少し複雑だった。

そんな中、母の勧めで入ったそば部が私の人生を変える。
入学当初、『声が出せないからしょうがない』と自分に自信をなくし、自分を諦めていた。
しかし、戸隠分校には様々な事情を抱えた人が多く、そのような仲間と出会うことで、『いろんな人がいてもいいんだ』と思うきっかけになった。

そば部に出会い、自分が持つ力を発揮できる、一生懸命になれる場所を見つけた。この3年間で、一気に自分の世界が広がったように感じている。

卒業後も、いつまで場面かん黙と向き合うことになるか分からないが、これからも自身の約束に向かって前に進んでいきたい。
たくさん話をし、そして後悔のないよう、過ごせるように

そば部部長 長田桃子さん
「部活の時もたくさん練習してきていたのでその成果が出たな、すごいなと思いました」
そば部副部長 德嵩由奈さん
「努力しているのが伝わって、こっちも応援したり支えたくなる」

そば部顧問 丸山淳一先生
「『あーよかったな』というか、いろいろ自信を持ってできるようになってきたなと。(そば部以外の)ほかの生徒は全く声を聞いたことがない、そういう状況で話すって勇気を相当振り絞ったと思う」