絶対的エースとなった王楚欽の壁
2018年、15歳で挑んだユース五輪で運命の出会いが訪れる。中学3年にして世界ランキング8位の張本は決勝へ。対するは当時18歳、世界ランキング105位の中国・王楚欽だった。 張本は「当時は僕の方がランクが高くて第1シードとして迎えるユース五輪。勝てると思っていた。その時は僕の方が強かった」と回想する。
格下のはずだったが、主導権を奪えず4-1で完敗を喫した。王楚欽は「張本選手は世間の評価もすごく高い選手です。中国代表としても絶対に負けたくなかった」と当時の心境を語っている。敗れた張本は、「(中国との壁は)大きい時もありますし、自分が良ければ大きくない時もあります。今日は本当に大きかった。永遠にライバルになるかもしれない」と感じていた。
このユース五輪を境に王楚欽はシニアの舞台で躍進を遂げ、国際大会で勝利を重ねて2023年にはついに世界ランキング1位に上り詰めた。
オリンピック5連覇を果たした卓球王国・中国の絶対的エースとなった王楚欽に対し、張本はその後6連敗(2018年~23年、団体戦除く)を喫することとなる。

「ライバルと呼ぶにはおこがましいくらい、相手の数年間の実績だったり、今の実力だったり、離されてしまっているので」
かつてのライバルが遠くに見えた張本は、王楚欽の強さをこう分析する。
「(球の)威力が世界一。質、スピード、回転が超一流なので彼と同じ球が打てるようになれば彼のような選手になれますけど、ここまでくると新しい技術を学ぶというよりは今持っている技術の質をもっとあげていくしかない。前の1球よりも良い1球を」
打倒・王楚欽へ向け、納得行くまでラケットを振った張本。練習相手からも「5球で終わるっていってから100…50球はやってる」と指摘されるほど練習に没頭した。
かつて父から楽しさを教わった息子は、ライバルと出会ったことで過酷な戦いへとのめり込み、絶対王者を打ち破るための秘策に辿り着く。

















