守りの技術「ツッツキ」を最強の武器へ

立ちはだかる王楚欽を倒すため、張本は自らのスタイルを変えていく決断をする。これまでの台に張り付き前陣で攻め抜く超攻撃的なスタイルから一転、台からあえて距離をとり、相手の強打を凌ぎながら反撃の機会をうかがうプレースタイルを取り入れた。

張本は「練習の9割ぐらいを前でやっていたんですけど、試合中ずっと前にいられるわけではないですし。相手の強打が決まった場合、前にいたらミスしてしまう」と語り、王楚欽の強打に対応するための選択であることを明かした。「相手の得意な範囲でプレーすることも半分ぐらいあると思うので、長所を伸ばすのと同じぐらい短所を減らしていくことも大事」という考えからである。

さらに張本は、最大の武器も見直した。それはバックハンドで強烈な回転をかける攻撃的レシーブ「チキータ」である。代名詞ともいえる技だが、張本は「チキータは僕の武器ですけど王楚欽にとっては良い技術ではない、通用する技術ではなかった」と振り返る。初対戦となったユース五輪では、チキータを打ちづらいコースへサーブを集められ完敗し、その後も負け続けた。

最大の武器を封じられた中、新たに目をつけたのがレシーブの基本技術である「ツッツキ(下回転をかけて低く返す技術)」だった。チキータのような強打ではなく、確実に返す守備的な技である。 かつてツッツキは自身の失点パターンでもあり、「チキータしようと思ってできないと思ったときに、できないからツッツキしようで打たれてしまう、ミスするというのが多かった」という。

苦し紛れに使っていた守りの技術を最強の武器へと変えるべく、張本は挑戦した。

「今まで仕方なくやっていたツッツキは(軌道が)高くて遅い。守りの中でも攻めのツッツキ。できるだけ速く低いツッツキができればチキータと同じぐらい、時にはチキータより意味のあるレシーブになってくる。王楚欽に通用するパターンはもう1個か2個、3個くらいしかないのでそのパターンを見つけていくしかない。チキータという武器はありますけど、全部をそのレベルまで引き上げることが大事」

目指したのは、低く速い「攻めのツッツキ」だった。

宿敵撃破、そしてさらなるリベンジへ

新たな武器を携え、2025年8月、世界のトップ選手が集ったWTTチャンピオンズ横浜の決勝で、張本は最大のライバル・王楚欽に挑んだ。

張本は練習通り台から離れて戦い、下がったところからでも攻め立てた。さらに磨いてきた「攻めのツッツキ」でポイントを決め、世界ランク1位の王楚欽を4-2で破ってみせた。

しかし、2026年2月のアジアカップ決勝では再び敗戦を喫し、絶対王者の壁が容易くは崩れないことを痛感させられた。

次の大舞台は9月のアジア大会。張本は宿命のライバル・王楚欽へのリベンジに燃えている。

「金メダルを獲るにあたって最後の壁となるのが中国の選手なので。世界一を目指す、アジア一を目指す、今年はすごく大事な年になる」

(TBSテレビ「バース・デイ」2026年7月18日放送より)