父と築いた「卓球を楽しむ」土台
2003年生まれの張本。両親は中国出身の元プロ卓球選手であり、日本でコーチを務めていた。
張本は2歳でラケットを握ると、「オリンピックで金メダルを獲れるようになりたい」と大きな夢を抱いた。
生まれ育った日本で夢を叶えるため、一家は日本国籍を取得。そこからの歩みは卓球界では異例のものだった。張本は当時の生活をこう振り返る。
「学校から帰って来て最初に宿題をやって、塾にも行って、そこから2、3時間卓球をやるぐらい。9時とか10時には寝ていた。自分がやりたい時にやって、やりたくない時にはやらなかったので、本当に楽しい練習でした」

これまで名を馳せた選手たちは、幼いころから長時間の厳しい練習で力を培ってきたが、張本の父・宇(ゆう)さんが重んじたのは「卓球を楽しむこと」だった。
宇さんは「卓球を好きになってやってほしい。クラブの子どもたちと一緒に限られた時間しかないので楽しくやっていきました」と振り返る。張本も「2、3時間だったから卓球を今でも好きでいられる。10時間もやっていたら苦しい、憎みながらやっていた可能性も」と同調する。
限られた時間の中で父が教えたのは、正しいフォームの徹底だった。宇さんは「フォームがズレると精度もズレるのでフォームはすごく大事にしています。将来的に正しいフォームで打つことが大事なことなので、基本的なことをしっかりやってほしい」と語り、張本も「基礎がないといろんなものに対応できない。どんなボールにも対応できる安定感は、基礎だったり正しいフォームが繋がっている」と、揺るぎない土台の重要性を口にする。
基礎を徹底して磨いた少年は、史上最年少の14歳で日本一に輝き、「ここからは自分の時代にしたい。絶対にどんな選手がきても負けない実力を身につけたい」と宣言した。そのわずか5か月後、リオ五輪金メダリストである中国の馬龍を撃破し、世界へその名をとどろかせた。

















