徹底したフィジカル強化とイタリアでのリーグ制覇

そしてもう1つ、石川が世界で戦うために取り組んできたのが、フィジカルの強化である。週5日、チーム練習前にウエイトトレーニングを行い、肉体を追い込む。練習の合間の息抜きについて尋ねられると「あまりしてないですね」と石川は苦笑する。

「体育館と家を行き来してばっかり。僕は歩くのがあまり好きじゃない、歩くことも疲れるし。バレーだったらちゃんとやりますけど、それ以外のことに体使うのがあまり好きじゃなくて…」

世界のトップチームでレギュラーを争い、セリエAの2025―2026シーズンでアタッカーとしてさらに一段進化した石川は、今年5月には初のリーグ制覇も経験した。現地メディアのインタビューに、石川は流暢なイタリア語で「この優勝は僕のキャリアにとって非常に重要ですが、人生は続くので、これから何が起こるか楽しみです」と語る。

名将ティリ監督の就任とあえて封印したリーダーシップ

技術を磨く一方で、日本のキャプテンとして追い求めてきた姿がある。

「プレーで見せるのは前提で、コミュニケーションとか、言葉一つでチームを動かせられるようにしたい。例えばいつも通りコミュニケーションをとる中で、一言ちょっと心に刺さるようなワードを入れたり」

だが、昨シーズンだけはあえてリーダーシップを封印した。その理由について、石川は冷静に分析する。

「様子も見たかったというか、監督が変わって1年目で監督の求めるバレーボールをすぐに発揮することの難しさ…」

昨年、日本代表はロサンゼルス五輪に向けチームを一新した。その新たな監督に就任したのが、東京五輪でフランス代表を金メダルへと導いた、世界を知る名将ロラン・ティリである。ティリ監督は「今年は日本代表が3年後のロス五輪で最高の成果を上げるための移行と再構築の年になります」と方針を示し、1年目はパリの主力選手を休養させ、若手中心のメンバーでチームを始動させた。

新チームの初陣となった「ネーションズリーグ」では、これまでサブでの出場が多かった宮浦や大塚、若手の甲斐などに経験を積ませた。途中合流した石川は、あえて前に出ない選択をした。

「口は出さずに、監督の思っていることを全て受け入れてチームを作っていく。少しメンバーも若くなったりして、彼らの様子も見ながらチームを作っていた」

そして、3大会連続のメダル獲得がかかったネーションズリーグの決勝ラウンドでベスト8敗退に終わった際、石川は「終わってみれば、もう少し自分がチームをまとめるべきだったかなと思っているところはありますけど。1年目はこれで良かったかなと正直思います。今年はそれプラス僕の意見もそうだし、選手たちの意見もプラスしてチームを作っていければと思います」と振り返っていた。