■マリウポリ 人道回廊は・・・
井上キャスター:
人道回廊を巡る主張を見ていきます。

ロシア国防省は「誰もこの回廊を利用していないと指摘せざるを得ない」と主張。
一方でウクライナ副首相はSNSで「ロシア軍が停戦を確保できず人々を輸送できなかった」としていて、溝があるというのも変わっていません。
国連難民高等弁務官事務所によると、ウクライナの人口のおよそ4分の1(約1200万人)が安全を求めて、ウクライナ国内外で避難を強いられていると発表されました。
ロイターによりますと、国連グテーレス事務総長は「ゼレンスキー大統領とプーチン大統領に和平に向け会談を申し込む」ということになっているのですが、国連も全く機能していないというところは変わっていません。
■救済する国際的なシステムがないと多くの国が悲惨な状況に追いやられる可能性が・・・
ホラン千秋キャスター:
プーチン大統領と少女とのやりとりがありました。ロシアの国民は、この戦争・侵略は、何の名目で行われているというふうに理解しているんでしょうか?
慶應義塾大学総合政策学部 廣瀬陽子教授:
(ロシア)東部の住民がウクライナ政府、つまりプーチンが言うところのナチスにやられていてそれをロシアは救わなければいけない。そのために大義名分としては、整ったような形で戦闘が行われています。つまりロシアとしては、正しい戦争を行っている。ロシアでは、戦争ではなく特別軍事行動という言葉で多くの人は納得させられているというような状況だと思います。
ホランキャスター:
納得させられているというのは、多くの人がそれを受け入れているということでいいんでしょうか?
廣瀬教授:
基本的には多くの方はまっすぐに受け止めている。SNSなどで外国の状況を知っている人などについては半分疑問符を持ちながらも黙っているというような方もいると思います。
ホランキャスター:
こういった大きな問題が発生したときに、様々な世界的な機関がありますが結局どれも思うように機能しないという点、これはどうしていけば良いと思われますか。
廣瀬教授:
新しい秩序を生んでいくようなシステムというのは、もちろん必要だと思います。今、国連も機能していないですし、また人権裁判所なども機能していません。今後新たなシステムがないと、ウクライナのような小国というのは、全く納得いかないような状況を強いられます。救済されるような国際的なシステムがないというのは、今後、多くの国が悲惨な状況に追いやられる可能性を秘めているということになります。やはり新しいシステムも求められている時だと思います。
ホランキャスター:
森永さん、ただ新しいシステムができたとしても守らない国や地域が出てきてしまうと同じことの繰り返しになってしまうわけですよね。
経済アナリスト・獨協大学経済学部 森永卓郎教授:
私は今、プーチン大統領がやってることっていうのはテロだと思うんですね。廣瀬先生に聞きたいのは、ゼレンスキー大統領は、アメリカに「ロシアをテロ支援国家として認定してくれ」と言っているんですが、何故アメリカはロシアをテロ支援国家として認定することができないんでしょうか?
廣瀬教授:
アメリカだけで出来るということではないですし、証拠がまだ十分に揃っていないということが大きいと思います。十分な証拠があって、国際社会がそれを基にして全面的にテロ支援国家という位置付けができれば、その時初めて可能になると思います。
井上キャスター:
証拠というのは虐殺の証拠ってことですか。
廣瀬教授:
虐殺を含めて全てのことが調査によって国際的なきちんとした証拠として裏付けられるプロセスが必要になってくると思います。
■“ロシアはここまで出来るのだ”という脅し
井上キャスター:
プーチン大統領は手を変え品を変え国際社会にプレッシャーをかけています。
ロシア国防省は20日、新型ICBM発射の映像を公開しました。
新型ICBM「サルマト」(ロシア国営通信によると)
▼10個の核弾頭を搭載可能
▼最大射程1万8000km
→南極経由でも米国本土に到達
ということで、やはりアメリカをしっかりと意識しているというところの裏返しでもあります。
ホランキャスター:
発射の背景にはどんな理由が考えられますか。
廣瀬教授:
ロシアの「大きな焦り」があるのは間違いないと思います。国際的に非常にもう劣勢になっていますので、やはりNATO諸国に対しても本気の脅し、ロシアはここまで出来るのだということを見せつけたのだと思います。
ホランキャスター:
劣勢に本当になっている状況なんでしょうか?全く攻撃の手を緩めないので、本当にそうなのかなというふうに思う方もいらっしゃると思うのですが。
廣瀬教授:
ロシアとしては、当初の想定とは大きくかけ離れた状況があって、ここまでウクライナが善戦してくるとロシアは思っていなかったはずなんですね。そういう意味ではロシアは非常に苦戦しているという現状を何とか押しとどめたい、そういう意味でもウクライナを支援している欧米に対してロシアの力を見せつけたい、そういう一心もあってICBMを打ったというふうに思います。