一問一答での検察と淳子被告との当時の取り調べ記録が明かされていく中、法廷内のモニター画面には、海外で撮影されたものだろうか、「小道と青々した葉が茂る木」の写真が映し出された。検察は、淳子被告の供述調書を変わらず淡々と読み上げていく。
「あと、遺骨がどこに埋まっているのか以前言わなかったが、本当のことを言う。遺骨は、直樹がアフリカのスワジランドに持って行って埋めた」
淳子被告は、検察に対してこう話したそうだ。「スワジランドは、『お母さんを困らせない場所に』と世界地図から直樹が選んだ。そんな親孝行な子供はいない。スワジランドに埋まっていることを知られたら、直樹がかわいそう。言わないで」。

16日午後は、その山本直樹被告に対する被告人質問。直樹被告は靖さんに対する思いを打ち明けた。「良い感情を持ってなかったのは事実。はやく寿命を迎えてほしいと毎日思っていた」
被告によれば、靖さんの精神疾患が原因で大学側とトラブルになり、無償だった学費を払わなければならなくなるなど、経済的な事情で大学の退学を余儀なくされたという。こうした中で現れたのが大久保被告だったという。
当時、厚生労働省の技官だった大久保被告は、大学を中退して医師の国家試験の受験資格を失っていた山本被告に対し、韓国の医大を卒業したとして偽装する方法を指南。結果として医師資格を得たものの、大久保被告とは「秘密を共有しなければならない関係」になったというのだ。
そして、靖さんの転院先を探す際に、大久保被告に靖さんの存在を伝えた。すると、大久保被告はこう告げたというのだ。「俺が主治医なら片付けてあげるのにな」
山本被告は、この発言を冗談か本気かわからず断ったというが、その後も「俺がバイトしている病院に転院させれば片付けてあげる、どう?」「合法的に寿命を迎えさせてあげる」などと、靖さんの殺害を何度も持ち掛けてきた、と。このような話が山本被告の口から語られたのだった。
17日も引き続き被告人質問が行われる。靖さんが亡くなった当日の状況に話が及ぶ見込みだ。山本被告は何を話すのだろうか。














