■過去には指切断の重大事故も発生

「モペット」が絡む重大な交通事故も起きています。
▼2019年には大阪市中央区で調理師の男性(26)が歩行者の男性をはね、この男性に足首の骨を折る重傷を負わせ、そのまま逃走したひき逃げなどの疑いで逮捕されているほか、
▼2021年には飲食店従業員の男性(26)が豊島区の路上でモペットを無免許で運転し、自転車に乗った女性をはね右手の指を切断させる大けがをさせたとして逮捕されています。

■電動アシスト自転車を改造して「モペット」にする人も…

中国などの海外では、日本のようにモペットに対する規制がありません。従って、海外では問題にならないライトやミラーのない車体を日本に持ち込み、そのまま利用すると違法になります。また、市販の電動アシスト自転車をモペット仕様に改造し、保安基準に適合しない状態のまま利用する悪質な違法行為もあるといいます。

電動アシスト自転車を販売している「MATE.BIKE JAPAN」の担当者は、販売している「MATE.BIKE」をユーザー自身がモペット仕様の車体に改造し、自転車と同じように利用する違法なケースもあり、電動アシスト自転車の普及の妨げになると危機感をもっているといいます。

MATE.BIKE JAPAN 広報
「MATE. BIKEは世界80か国で展開しているブランドで、私たち正規代理店は日本では電動アシスト自転車タイプしか販売していません。しかし、日本では公道走行ができない海外の仕様のものを並行輸入してそのまま使用したり、改造パーツや違法のカスタムで『スロットル』と呼ばれるものをつけて、ペダルをこがずに移動したりしているケースが確認されています。本来、電動アシスト自転車は、自転車としてより自由で制限のない移動ができるというところが魅力にもかかわらず、交通ルールを守らない人がいるために、現在販売している『電動アシスト自転車』が社会から受け入れられなくなる危機感を感じています」

MATE.BIKEが販売している電動アシスト自転車

MATE.BIKE JAPAN 広報
「MATE. BIKEはファットタイヤと言われる太めのタイヤを使っている電動アシスト自転車です。違法に改造されている『モペット』は普通の自転車の細いタイヤのものを改造するのでは軽すぎて、スロットルで『原付・バイク』としては運転しようとすると、車体のバランスが取れないようです。そのため、このファットタイヤの車体が多く改造されているのではないでしょうか」

店への問い合わせの中には、「『スロットル』をつけることができるのか」「アシスト比率のリミッターを解除できるのか」といったものもあるといいます。

MATE.BIKEで回収した改造パーツ

MATE.BIKE JAPAN 広報
「こうした改造をして良い車体は販売していませんとはっきり伝えたうえで、『原付・バイク』として使用できる車体は違法になると伝えています。正規販売店として、違法パーツを見つけたときは回収するほか、保証対象外にするなど対策を行っていて、より多くの人に安心して『電動アシスト自転車』を利用してもらえるよう、これからも交通ルールの周知を徹底していきたい」