選手が「陽性」の検査結果の提示求める→事務局側は「かたくなに拒否」 

2人の選手は、別室に呼ばれて再度抗原検査を行うことになりました。呼ばれたのは選手のみということでした。

就実高校の西畑監督がこの選手2人から聞いた話によると、検査を担当していた女性は、選手2人の鼻を拭って採取した検体を、選手から4メートルほど離れた場所に持って行き、壁際に向かって選手に見えないところで処理。室内にはもう1人担当者がいて、その担当者が「見張っているような感じ」だったといいます。そしてその場で選手たちに結果が伝えられることはありませんでした。

その際、選手2人は「検査キットを見せてください」「結果を教えてください」と担当者の女性にお願いしたところ、「教えられません」「見せられません」とかたくなに拒否されたということです。

その40分後、隣の部屋に呼び出された西畑監督らが、大会委員長らから「陽性」を示す2本の線が入った抗原検査キット1つを提示され、「医師の判断で陽性です」と告げられました。

この検査結果を受け、就実高校は大会実施要綱に則り「本大会欠場」の扱いに。記録上は「不戦敗」「各セット0‐25での敗戦」となり、ここで大会3連覇の夢は潰えてしまいました。

対応を不審に思った高校が自ら再検査 「抗原検査」「PCR検査」いずれも “陰性”に

なぜ、選手たちによる検査キットの結果の提示を、春高バレー事務局側はかたくなに拒否したのか。その対応を不審に思った就実高校は、宿舎に戻ったあと、学校から持参した抗原検査キットで再度検査を行ったところ、全員「陰性」の判定がでたということです。

さらにその直後に東京都内の病院で、「陽性」と判定された選手2人のPCR検査を行ったところ、その日の夜に2人とも「陰性」の判定が出ました。

なお、春高バレーのホームページ内にある、2023年1月5日付の「ニュース&トピックス 欠場チームのお知らせ」には、春高バレー事務局のコメントとして「感染された方の一日も早い回復をお祈りするとともに...」と、1月17日現在も掲載されたままになっています。就実高校によると、当該選手には発熱や咳など新型コロナの症状は見られなかったということです。

「なぜ検査キットの結果提示を拒否?」拭えない事務局への “不信感”

就実高校の秋山圭子校長は訴えます。

「当然ながら『抗原検査で陽性が出たら欠場』というのを理解した上で、私たちも大会に参加している。それが大会のルールなので、一度陽性と出たら出場はできないものと納得して大会に来ています」

「しかし今回の春高バレー事務局の対応は、検査キットの結果を当該選手たちに見せることを拒否するなど、本当に『陽性』だったのか、本当に大会を欠場しなければならなかったのか、『検査の透明性』において納得がいかない部分が多い」と話しました。

さらに、「今まで一生懸命やって来た選手たちは、非常に落ち込んでいた。ルールを理解した上でも、1人の子どもが抗原検査で陽性となった時点でチーム全体が出場できない、というのは物凄く大きなペナルティ。当事者になってみればそれがどれほど厳しく苦しいものか、分かって欲しい」とも訴えました。

西畑監督によると、本大会欠場が決まった直後、選手たちは皆その場に泣き崩れたといいます。