「家庭環境が最悪じゃない人いないよね、ここに」

 午後10時に話を聞いた若者たちもまた、家庭環境に深刻な問題を抱えていた。

 (記者)「なんでここにいつもいるの?」
 (若者)「暇つぶしです。実家に帰ると殴られる。だから家を出たし、友達の家にいるし」
 (記者)「誰に殴られる?」
 (若者)「親です。お父さんです。だから16歳になって原付の免許とか取って、それでもう逃げてみたいな。それでもなんか捜索願も出されたことないし」
 (若者)「だいたい家庭環境、最悪だよね、みんな。家庭環境、最悪じゃない人いないよね、ここに。だいたい虐待とかあるじゃん」

 午前0時。道端には大量のたばこの吸い殻。

 (記者リポート)
 「またここに戻ってくるという意思表示なのでしょうか。カバンが置き去りになっていますね。荷物の量を見れば、彼らが家出をしてきたと容易に想像できますね」

 15人ほどがグリ下に戻ってきた。するとそこへ…。

 (記者リポート)
 「大阪府警の警察官がグリ下の少年たちのもとへと向かって歩いていきます。補導するのでしょうか」

 身分証を提示させて年齢を確認する警察官。すぐさま一人の少女が保護された。周りにいた仲間に聞くと、その少女は11歳だったという。