水引に秘められた力を引き出す職人の技

制作したのは、水引デザイナーの有高智佳代さんです。
水引の新たな可能性を追求しています。

有高さんは、水引細工職人として高い技術を持つ者と認められた「えひめ伝統工芸士」の1人です。

(えひめ伝統工芸士・有高智佳代さん)
「水引細工の手法には3つある。『結ぶ』『編む』『巻く』。これらを組み合わせて、いろんなものができている」

多彩な色合いにツヤ、太さなど種類豊富な水引と職人技との融合が、華麗で優美な細工を生み出します。

加工の8割は機械に頼るといいますが、職人にしかできない細工があります。

(えひめ伝統工芸士・有高智佳代さん)
「まっすぐな直線の美しさはそのままで、曲線にするために『しごく』ことによって、曲線の美が出てくるのがすごく魅力」

『しごく』とは水引を指の腹で挟み、滑らせるようにして絶妙な力を加える、職人ならではの技術です。

指先の感覚だけを頼りに、まっすぐな一本の糸からしなやかな曲線を生み出します。

(えひめ伝統工芸士・有高智佳代さん)
「きつくカーブをしたいときはきつくしごく。そこまででなければ緩くでもいい。それぞれが自分で体得すること」

有高さんは、職人の技に応え様々な表情を見せてくれる、水引の素材にも魅了されています。

(えひめ伝統工芸士・有高智佳代さん)
「この細いひもの中に“力”がこもっている」

和紙を濡らし、乾燥させてより合わせ、色を施すなどして完成する一本の水引。
一枚の紙が様々な工程を経て、しなやかで丈夫な素材へと生まれ変わり、そこに秘められた力を職人が引き出すのです。

有高さんは約40年前、結納品や祝儀袋などの製造・販売を手掛ける「有高扇山堂」の先代社長と結婚し、この世界へ飛び込みました。

ただ、結納品の需要は、ライフスタイルの変化とともに減少…

業界の栄枯盛衰を肌で感じてきたからこそ、「このままでは水引文化が消えてしまう」という危機感は年々強まっています。

(えひめ伝統工芸士・有高智佳代さん)
「時代に合わせてデザインを変えるなどの努力はずっとしてきた。でも、だんだん需要が変わってきたのが現実で、『結納をどうするか』というデザインではなくて、『水引をどうするか』というところまできている」