カープで過ごした9年間に愛着「本当に濃い、いい時間」

新井
高校を出てからカープで過ごした9年間、ここまでどうでしたか。

鈴木
最初はどうなるかっていう感じで入ってきて、でも、1年目から二軍で試合にたくさん使ってもらって、その年の最後には一軍に上げてもらって。すごくいい経験をたくさんさせてもらって。

本当に濃い、長いようで短いというか・・・。
すごくいい時間をカープで過ごせたなって思っています。

「愛着」って何なんだろうって、ずっと思っていて。メジャー挑戦の報道が出てから、チームメートやカープのことを聞かれると、やっぱり「寂しい」って思いがすごく出てきて、毎回泣きそうになるくらい、ガーッってきて。自分が思っていた以上に愛着があったんだなっていうふうに、思って。寂しいんですけど、すごく楽しかったですね。


新井
その言葉を聞けて、OBとしてうれしいし、ファンの方も、すごく誠也に対しては思い入れがあると思うし。3連覇した中でも、誠也が中心にいた選手だし、すごく応援してくれてると思うよね。

鈴木
1年目からすごく期待してもらって、応援してもらっていて、何とかそれに応えたいと思っていました。若いときは、マツダスタジアムで代打に出たりすると、声援の大きさが逆にプレッシャーになって、緊張して、力んで、打てない時期が続いたりしたんです。でも、バーッて打ち始めて、すごく声援をいただいたときに、こんどは今まで以上の力が出るというか、より集中力が増して。それまでだったらあんな球打ててないのになっていうのが、結果ヒットになったりもして。

コロナ禍になって応援がなくなって、ファンの大切さがすごくわかったんです。声援をもらえることに慣れていた自分がいたと気付いて。イライラしているときは、声援が聞こえず集中力のないまま打席に入る場面もなくはなかったですけど、声援がなくなってみて、より大切さが身にしみて。去年はお客さんが少しずつ入るようになりました。スタンドで声を出すのは禁止でしたけど、それでも熱が入ると、ファンの思いが伝わってくる。たとえヤジでも、逆にうれしいというか。

新井
いつも応援してもらえるのが普通じゃないんだぞっていう経験が、これからの野球人生だけじゃなくて、ユニホームを脱いだ後の人生にもつながるよね。「周りに生かされているんだな」って。